マピングアリ
マピングアリ · マピンガリ · Mapinguari
ブラジルの森の未確認生物。腹に開いた大きな口と一つ目を持ち、強烈な悪臭を放ち、後ろ向きの足を持つ。1990年代に、絶滅した地上性ナマケモノの生き残りとする仮説が出されたが、証拠は得られていない。
解説
概要
マピングアリは、ブラジルのアマゾン地方の民間伝承に語られる、毛深く強烈な悪臭を放つ獣である。一つ目で、腹に大きな口を持ち、後ろ向きの足で二本足で歩くとされる。1990年代には、絶滅した大型の地上性ナマケモノの生き残りではないかという説も唱えられたが、その存在を示す証拠は見つかっていない。
なお本サイトの分類では、南米先住民の体系に含めて扱う。
腹の口と一つ目
マピングアリの最も奇妙な特徴は、腹に開いた大きな口である。額には一つの目があり、長い赤い毛に覆われている。強烈な悪臭を放ち、その臭いで近くにいることが分かるという。皮は硬く、銃弾も通さないとされた。足は後ろ向きについており、この点はクルピラやチュリャチャキと共通する。南米の森の存在に繰り返し現れる特徴である。ほかの森の存在と同じく、必要以上に狩りをする者を襲うとされ、特定の日に狩ることを禁じる伝承もある。
ナマケモノの生き残りか
マピングアリを、更新世の終わりに絶滅した地上性の大型ナマケモノ(ミロドンなど)の生き残りと結びつけたのは、1990年代にアマゾンで聞き取りを行ったアメリカの生物学者デイヴィッド・オレンである。地上性ナマケモノのなかには、皮膚の下に小さな骨の板を持つものがおり、「弾が通らない」という描写に対応するとされた。オレンは調査を続けたが、毛や糞、写真といった証拠は何も得られず、その説は他の研究者から批判を受けた。なお、地上性ナマケモノが南米で今も生きているという考え自体は古く、19世紀末にアルゼンチンの古生物学者フロレンティノ・アメギノが、パタゴニアの洞窟で見つかった皮などをもとに唱えている。ただしこれはアマゾンのマピングアリの伝承とは別の話であり、その皮も後に約1万3千年前のものと分かった。今日、マピングアリは未確認生物として扱われている。本項はこの説を紹介するにとどめ、生物としての実在を前提とはせず、伝承として扱う。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、マピングアリを表した図である。
関わる伝承
クルピラ、カイポラとともに、ブラジルの森の存在をなす。
文化的足跡
マピングアリは、ブラジルのアクレ州やロンドニア州の民俗でとりわけよく語られる。
なお南米先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。