ジャシ
ジャシ · イアスィー · ジャスィー
トゥピ・グアラニーの月の神で、植物、海の生き物、豊穣と生殖を守る。太陽の神クアラシーの双子の弟。先住民にとっては男性だが、宣教師や年代記作者に始まる誤解によって、先住民以外の人々のあいだでは女神とみなされてきた。
解説
概要
ジャシ(トゥピ語でイアスィー、グアラニー語でヤシ)は、南米のトゥピ・グアラニー系の人々の宗教と神話における月の神で、植物、海の生き物、豊穣と生殖を守る。太陽の神クアラシーの双子の弟とされる。南米先住民の体系に含めて扱う。
男神が女神とされた経緯
トゥピ・グアラニーの人々にとってジャシは男性であるが、先住民以外の人々の想像のなかでは、宣教師や年代記作者に始まる誤解によって女神とみなされるようになった。この誤解は先住民以外の人々による文学で広まり、今日ではインターネットを通じて広がっている。月を本来女性的なものとみるヨーロッパ中心の考え方の影響を受けたもので、トゥパ、アニャンガ、ジュルパリ、マイーラなど、ほかのトゥピ・グアラニーの神話上の存在にも同じことが起きた。しかし近年の研究、とりわけクルト・ニムエンダジュ、レオン・カドガン、アルフレッド・メトローらが先住民自身の語りを掘り起こした人類学や民族学の記録によって、これは正されつつある。
名
トゥピ語のイアスィーは「月」を意味し、トゥピ系の諸言語で綴りは大きく異なる。トゥピ・グアラニーの人々は、朔から次の朔までの月の満ち欠けの一巡もジャシと呼び、トゥピナンバの人々が首に下げた、白い貝殻を三日月形に削った飾りの名でもあった。コウト・デ・マガリャンイスは『野生の人』(1876年)で、ニェエンガトゥ語で「果実の母」の意とする語源を示し、カマラ・カスクードもこれを繰り返している。
ジャシについて記録に残る最も古い言及は、1550年と1554年にブラジルを訪れたフランスのフランシスコ会士で地理学者のアンドレ・テヴェによるものとみられる。
図像と象徴
主画像は、サンパウロ州アチバイアの岩山に昇る満月の写真で、ジャシそのものを描いたものではない。
系譜と関係
クアラシーの双子の弟で、トゥパとも関わる。
文化的足跡
「ジャシ」は、ブラジルで人名や地名として広く用いられている。
なお南米先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。