カイポラ
カイポラ · カアポラ · Caipora
ブラジルの森の霊で、野生動物と獲物の守護者。巨大な猪に乗って森を駆ける。狩人が煙草と酒を供えれば獲物を与えるが、怠れば以後獲れなくなる。その名はポルトガル語で「不運な人」を意味する日常語になった。
解説
概要
カイポラ(カアポラとも)は、ブラジルの民間伝承と南米先住民の伝統に語られる森の霊で、野生の動物と狩りの獲物を守る。名はトゥピ語で「森に住む者」を意味すると解され、同じ意味を持つアニャンガの別名カアゲレに遡るとする説もあるが、確定していない。
神話・物語
カイポラは浅黒い小柄な人の姿をし、槍や杖を手に、巨大な猪やペッカリーにまたがって森を駆ける。男とも女とも語られ、その性別は地域によって異なる。
狩人が煙草やカシャーサ(サトウキビの蒸留酒)を供えれば、カイポラは獲物を与えてくれる。供え物を怠れば、その狩人には以後獲物が獲れなくなる。日曜日や聖日に狩りをすることも禁じられ、破れば罰を受けた。聖日の禁忌には、キリスト教の暦の影響がみられる。
系譜と関係
カイポラは、同じ森の守り手であるクルピラとしばしば混同される。後ろ向きの足を持つクルピラに対し、カイポラは猪に乗る姿で区別されることが多い。北部ではクルピラ、南部や南東部ではカイポラの名が優勢で、両者を同じ存在の地域ごとの呼び名とみる見方もある。
図像と象徴
猪にまたがる小柄な姿が定型である。主画像は2008年に描かれた現代の図である。
文化的足跡
ポルトガル語で「カイポラ」は「ついていない人」を意味し、「カイポリズモ」は不運を指す。カイポラはブラジルの児童文学や漫画に広く登場する。モンテイロ・ロバトの連作『黄色いキツツキ農園』が、その普及に大きく寄与した。
なお南米先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。