タアウトス
タアウトス · タウト · Taautus
フェニキアの文字の発明者とされる神で、エジプトのトートに相当する。サンクニアトンによれば、蛇が足なく速く動き脱皮して若返ることから永遠の象徴とし、自らの尾を噛む蛇の図像を最初に描いた。フェニキア文字は世界の主要な文字体系の祖である。
解説
概要
ビュブロスのタアウトスは、フェニキアの著述家サンクニアトンによれば、ミソルの子であり、文字の発明者であって、クロノスからエジプトの地を与えられた。
サンクニアトンの著作は、フィロンの訳を通じて、エウセビオス『福音の準備』によって伝えられた。
文字の発明者
エジプトのトート。 タアウトスは、エジプトのトート(ジェフティ)に相当する。
名も対応する。
フェニキア文字。 フェニキア人は、世界に大きな影響を与えた表音文字を用いた。
ギリシア文字、ラテン文字、キリル文字、アラム文字、ヘブライ文字、アラビア文字——いずれもフェニキア文字に遡る。
発明者の神。 その文字の起源が、この神に帰される。
蛇の象徴
サンクニアトンによれば、タアウトスは蛇に神性を認めた。
蛇の性質。 蛇は足を持たずに速く動き、脱皮して若返り、円を描いて自らの尾を噛む。
永遠の象徴。 これらの性質から、蛇が永遠と再生の象徴とされた。
ウロボロス。 自らの尾を噛む蛇の図像を、タアウトスが最初に描いたとされる。
エウヘメリズム
エウセビオスがサンクニアトンを引いたのは、異教の神々がもと人間であったことを示すためである。
エウヘメリズム。 神々を歴史上の人物の神格化とみなす解釈である。前3世紀のエウヘメロスに由来する。
キリスト教の護教。 異教の神が人にすぎないと示すことで、その崇拝を否定する。
タアウトスの扱い。 タアウトスも、文字を発明した人間として描かれる。
逆説。 この解釈のおかげで、フェニキアの神々の名と系譜が記録として残った。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる神格・伝承
トートに相当。サンクニアトンが伝える。
メソポタミアのナブー、ギリシアのヘルメースも、文字と記録の神である。
文化的足跡
フェニキア文字が世界の主要な文字体系の祖であることは、今日も広く知られる。その神話上の発明者としてのタアウトスは、文字の歴史を語る文脈で言及される。