ソホラーブ
ソホラーブ · スフラーブ · Sohrab
ロスタムの子で、父を知らずに育ちトゥーラーンの軍を率いてイランに侵攻した。父を探すためであったが、アフラースィヤーブに互いの正体を隠され、三日の一騎打ちの末に父に刺された。死に際に腕輪を示してはじめて父子と知れた。
解説
概要
ソホラーブは、1000年頃にフェルドウスィーが著したペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する若い戦士である。イランの英雄ロスタムの子でありながら、父を知らずに育ち、敵の軍を率いてイランに攻め込んだ。父と子はそれと知らずに一騎打ちを演じ、ロスタムが致命傷を負わせたあとで初めて、二人は互いが父と子であると知る。「ロスタムとソホラーブ」は、ペルシアの叙事詩のなかで最もよく知られた悲劇である。
なお本サイトの分類では、ペルシア神話の体系に含めて扱う。
父を探す子
ロスタムは狩りの途中でサマンガーンの国に立ち寄り、王女タフミーネと一夜をともにした。立ち去るとき、ロスタムは腕輪を残し、生まれた子が男であればその腕に結べと告げた。こうして生まれたソホラーブは、父を知らないまま育った。幼いうちから武勇で知られたソホラーブは、トゥーラーンの軍を率いてイランへ攻め込んだ。父を探し出してイランの王位に就け、自らはトゥーラーンを治めたいという望みからであった。ところがトゥーラーンの王アフラースィヤーブは、父と子が出会えば恐ろしい力になると考え、二人に互いの正体が知られないよう手を回した。
遅すぎた再会
ロスタムとソホラーブは、三日にわたって戦った。一日目はソホラーブがロスタムを組み伏せたが、殺さなかった。二日目はロスタムがソホラーブを組み伏せ、短剣で刺した。死にゆくソホラーブは、父ロスタムが来ればおまえを許さないだろうと言い、腕輪を示した。ロスタムはそのとき初めて、相手がわが子であると知った。ロスタムは王カイ・カーウースに癒しの霊薬を求めたが、王はそれを与えず、ソホラーブは死んだ。
知らずに戦う父と子
すべてが終わったあとで真実が明らかになるという悲劇の型は、ギリシアのオイディプースと比べられる。ただし、オイディプースでは子が父を殺すのに対し、ソホラーブの物語では父が子を殺す。父と子がそれと知らずに戦う型は、インド・ヨーロッパ語族の叙事詩に繰り返し現れ、アイルランドのクー・フーリンとその子コンラの物語や、ゲルマンの『ヒルデブラントの歌』も同じ型をとっている。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ソホラーブとゴルダーファリードを描いた図である。
関わる神格・伝承
父はロスタム、母はタフミーネで、アフラースィヤーブに欺かれた。
文化的足跡
マシュー・アーノルドの詩『ソーラブとラスタム』(1853年)は、この物語を英語圏に伝えた。イランでは、この物語は最もよく知られた文学の場面である。
なおペルシアの伝統は今日も語り継がれている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。