ゴルダーファリード
ゴルダーファリード · Gordafarid · Gordāfarīd
『シャー・ナーメ』の女戦士。髪を兜に隠して城を出てソホラーブと一騎打ちし、兜を打ち落とされて女と知れた。捕らえられかけたが計略で城に戻って門を閉ざし、トゥーラーン軍を足止めした。イランで女性の勇気の象徴とされる。
解説
概要
ゴルダーファリードは、1000年頃にフェルドウスィーが著したペルシアの長大な叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する女性の戦士である。イランへ攻め込んできたトゥーラーンの軍の将ソホラーブと一騎打ちを演じ、敗れかけながらも知恵によって敵を足止めし、イランが軍を整える時を稼いだ。今日のイランで、女性の勇気と知恵の象徴とされている。
なお本サイトの分類では、ペルシア神話の体系に含めて扱う。
白い城の戦い
白い城(デジ・エ・セフィード)が、ソホラーブの軍に攻められた。城を守る将ハジールは敗れて捕らえられ、城の兵たちは恐れて出て行こうとしなかった。そこでゴルダーファリードは、髪を兜のなかに隠し、鎧をまとって城から出た。ゴルダーファリードはソホラーブと戦い、矢を射かけ、槍を交え、剣で打ち合った。ついにソホラーブが兜を打ち落とすと、長い髪がこぼれ、相手が女性であることが知れた。ソホラーブは、イランの女性がこれほどに戦うなら、男たちはどれほどだろうかと驚いたという。
知恵で勝つ
捕らえられかけたゴルダーファリードは、「兵たちが見ている。城に入って降伏の話をしよう」と言って城門へ向かい、なかに入るとすぐに門を閉ざした。そして城壁の上から、ソホラーブをあざけった。この計略によってトゥーラーンの軍は足止めされ、イランは軍を整える時を得た。その夜のうちに、城の人々は地下の道を通って逃れた。翌朝ソホラーブが城に入ったときには、誰も残っていなかったという。
ゴルダーファリードは、『シャー・ナーメ』のなかで最もはっきりと描かれた女性の戦士である。一騎打ちには敗れかけたが、知恵によって目的を果たした。名は「勇士」を意味する「ゴルド」と、「造られた」を意味する語から成り、「勇士として造られた者」と解される。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ヨーゼフ・ロッターの《ソホラーブとゴルダーファリード》である。
関わる神格・伝承
ソホラーブと戦い、白い城を守った。
文化的足跡
ゴルダーファリードは、現代のイランで女性の勇気の象徴として繰り返し取り上げられ、学校や団体、女性のスポーツチームの名などにも用いられている。
なおペルシアの伝統は今日も語り継がれている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。