セスランス
セスランス · Sethlans
エトルリアの火と鍛冶と金属加工の神で、槌と鋏、円錐形の帽子ピレウスによって同定される。ギリシアのヘーパイストス、ローマのウルカーヌスに相当。青銅鏡には、ティニアの頭を割ってメンルヴァを生ませる場面が刻まれる。
解説
概要
エトルリア神話において、セスランスは火、鍛冶場、金属加工、そして広く手工芸一般の神であった。名に語源上の共通はないが、ギリシアのヘーパイストス、エジプトのプタハ、ローマのウルカーヌスに相当する。
セスランスは、エトルリア固有の神の一柱である。
図像
エトルリア美術において、セスランスはその道具——鍛冶屋の槌と鋏——、そしてかぶるピレウスすなわち円錐形の帽子によって同定されうる。
ピレウス。 円錐形の帽子は、職人の徴である。ヘーパイストスも同じ帽子をかぶる。
槌と鋏。 鍛冶の道具が、そのまま神の徴である。
銅鏡
エトルリアの青銅の手鏡には、神々の場面が刻まれる。裏面に線刻で描かれ、神の名が添えられる。
セスランスの場面。 メンルヴァの誕生——ティニアの頭を割って生まれる——において、セスランスが斧をふるう場面が刻まれる。
ギリシアのアテーナー誕生において斧をふるうのがヘーパイストス(あるいはプロメーテウス)であることに対応する。
エトルリアの金属加工
エトルリアは、鉄と銅の産地であった。エルバ島の鉄鉱、トルファ山地の銅が、その富の基礎である。
技術の神。 金属加工の技術が、エトルリアの繁栄を支えた。その神が万神殿に位置を占めることは、この経済に対応する。
輸出。 エトルリアの青銅器はギリシアとアルプス以北へ輸出された。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
神々の名を刻む文化。 エトルリアの鏡と土器には、描かれた人物の名が刻まれる。これが神名を知る主要な資料である。
エトルリア語は完全には解読されていないが、固有名詞は読める。神話の内容は分からなくとも、誰が描かれているかは分かる。
関わる神格・伝承
ヘーパイストス、ウルカーヌスに相当。メンルヴァの誕生に関わる。
文化的足跡
エトルリアの青銅鏡は、世界の博物館に多数収蔵されている。その線刻は、エトルリア神話を知る最も重要な資料である。