テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
ピエタース
PLATE — PIETAS
ROMA · ローマ神話
PIETAS

ピエタース

ピエタス · Pietas

Classical Numismatic Group CC BY-SA 3.0

ローマの主要な徳「敬虔・孝行・忠誠」の擬人神。アエネーアースが老父アンキーセースを背負い家の神々を携えて逃げる姿がその定型とされる。前181年にフォルム・ホリトリウムに神殿が建てられ、帝政期には皇帝の徳として貨幣に描かれた。イタリア語「ピエタ」の語源。

01

解説

概要

ピエタース(Pietas)は、「義務」「宗教性」「忠誠」「献身」「孝行」などさまざまに訳され(英語の piety はこのラテン語に由来する)、古代ローマ人の主要な徳の一つであった。建国の英雄アエネーアースの特徴的な徳であり、ウェルギリウス『アエネーイス』を通じてしばしばピウス(「敬虔な、献身的な」)の添え名が与えられる。

ピエタースの聖なる性格は、神格化された擬人像ピエタース——ローマの貨幣にしばしば描かれる女神——によって体現された。ギリシアの対応者はエウセベイアである。

概念

キケロー『発想論』(2.66)は、ピエタースを血縁の者と祖国に対して務めを尽くす徳と定義し、神々への務めは別にレリギオー(宗教)として扱う。ただし一般の用法では、神々への敬虔も、国家への忠誠も、親への孝行もこの語で表される。

アエネーアースが燃えるトロイアから老父アンキーセースを背負って逃げる場面が、ピエタースの図像的な定型である。家の神々(ペナーテース)と父と子を一度に救う姿である。

神殿

前181年、マニウス・アキリウス・グラブリオが父の誓願を果たしてフォルム・ホリトリウムにピエタースの神殿を建てた。大プリニウス『博物誌』7.121 は、投獄された母を、子を産んだばかりの娘が自らの乳で養ったという出来事の場所に、この神殿が建てられたと記す(ただしプリニウスは建立を前150年の執政官の年とし、リウィウスの伝える年と合わない)。娘が父を養う形の話(キモーンとペーロー)はウァレリウス・マクシムスが別に伝え、のちに「ローマの慈愛」(カリタース・ローマーナ)の名で絵画の主題となった。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、アントニヌス・ピウスの貨幣である(138年)。ピエタースを描く。

貨幣においてピエタースは、祭壇の傍らに立って香を捧げる女、あるいは子供を伴う女として表される。前者は神々への敬虔、後者は家族への献身を示す。

皇帝アントニヌスの添え名「ピウス」は、養父ハドリアヌスの神格化を元老院に認めさせた孝行によるとされる。皇帝の徳の名として、ピエタースは帝政期の政治的な語彙の中心にあった。

系譜と関係

アエネーアースの徳。フィデース、ホノース、ウィルトゥースと並ぶ徳の擬人神。

文化的足跡

死んだキリストを抱く聖母の図像を指すイタリア語「ピエタ」(pietà)は、この語に由来する。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q2643299 — 骨格データの出典