ホノース
ホノス · ホノル · Honos
ローマの名誉の擬人神。勇気の神ウィルトゥースと対で祀られ、将軍の勝利を記念する神殿が建てられた。一つの神殿に二神を祀ることを神官が拒み、隣接する二つの神殿になった。月桂冠とオリーブと豊穣の角を持つ。
解説
概要
古代ローマの宗教において、ホノース(Honos、ホノルとも)は名誉の神格化された擬人像であった。通常、月桂冠をかぶり、オリーブの枝と豊穣の角を持つ姿で描かれた。
ホノースは、ローマの男らしさと勇気の擬人像ウィルトゥースと密接に結びつき、二神はしばしばともに祀られた。
神殿
前234年、クイントゥス・ファビウス・マクシムス・ウェッルコススは、リグリア人に対する勝利ののち、アッピア街道沿いにホノースの神殿を奉献した。
前222年、マルクス・クラウディウス・マルケッルスはガリア人に対する勝利を誓願して、この神殿をホノースとウィルトゥースの神殿に改めようとした。神官はこれに反対し、一つの神殿に二神を祀ることは、前兆が現れたとき二神のいずれのものか分からなくなると論じた。そこでマルケッルスは隣接する神殿を建て、二神を別々の建物に祀った。シュラクーサイから略奪した美術品がここに収められた。
マリウスもキンブリ人・テウトネス人への勝利ののち、ホノースとウィルトゥースの神殿を建てた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ホノースを描いたアウレウス金貨である。
軍事的な勝利と結びついた神殿の奉献が、この神を規定する。名誉は戦場で得られるものであり、その神殿は将軍の凱旋の記念碑として建てられた。
ウィルトゥースとの対も特徴的である。勇気(ウィルトゥース)によって名誉(ホノース)が得られるという因果が、二つの神殿の隣接に表されている。マルケッルスの神殿では、ウィルトゥースの神殿を通ってホノースの神殿に入る構造であったという。
関わる神格・伝承
ウィルトゥースと対をなす。フィデース、ピエタースと並ぶ徳の擬人神。
文化的足跡
「ホノース」は英語の honour、フランス語の honneur の語源である。ローマの神の名が、西洋の倫理の基本語彙になった。