オーキュペテー
オキュペテ · オーキュトエー · Ocypete
「速く飛ぶ者」を意味するハルピュイアの一人。盲目の王ピーネウスの食卓を荒らし、ボレアースの子らに追われてエキーナデス群島まで逃れ、そこで力尽きた。島はストロパデス(引き返しの島)と呼ばれた。
解説
概要
オーキュペテー(Ὠκυπέτη / Okypete)は、ハルピュイアの一人で、名は「速く飛ぶ者」を意味する。ヘーシオドス『神統記』では、海の神タウマースとオーケアニスのエーレクトラーの娘で、姉妹アエッローとともに、風や鳥とともに速く飛ぶ美しい髪の女神として歌われる(265〜269行)。アポロドーロスは、ヘーシオドスの別の詩ではこの者がオーキュポデーと呼ばれると記す。
神話・物語
ハルピュイアの物語で最もよく知られるのは、盲目の王ピーネウスの食卓を荒らした話である。アポロドーロス(1.9.21)によれば、ピーネウスが食事をとろうとするたびにハルピュイアが舞い降りて食べ物を奪い、残りを汚して食べられなくした。アルゴナウタイの一員で翼をもつボレアースの子ら、ゼーテースとカライスがこれを追い払った。
追われたハルピュイアのうち、一人はペロポネーソスのティグレース川に落ち、この川はハルピュースと呼ばれるようになった。もう一人のオーキュペテー(オーキュトエーとも)はプロポンティスを抜けてエキーナデス群島まで逃れ、そこで振り返ったところで力尽き、追手もろとも落ちたという。群島はそのため「引き返しの島」(ストロパデス)と呼ばれるようになった。ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』第2巻では、この島でイーリスが現れて追跡をやめさせ、ハルピュイアがもうピーネウスを苦しめないと誓う。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
前6世紀の壺絵(ヴュルツブルクの「ピーネウスの杯」など)では、ハルピュイアは翼をもつ女の姿で、ボレアースの子らに追われる場面が描かれた。醜い女の顔をした怪鳥という姿は、ウェルギリウス以降のローマの文学で強まったものである。
系譜と関係
父はタウマース、母はエーレクトラー。姉妹にアエッロー、ケライノー(ウェルギリウス)、ポダルゲー(ホメーロス)。虹の女神イーリスとは異母とも同母ともされる姉妹。
文化的足跡
ウェルギリウス『アエネーイス』第3巻では、アイネイアースの一行がストロパデス島でハルピュイアに襲われ、ケライノーが不吉な予言を告げる。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。