ララ
ラルンダ · ムータ · タキタ
ユーピテルとユートゥルナの密通をユーノーに漏らして舌を抜かれ、冥界へ連れて行かれる途上でメルクリウスに犯されて辻のラレースを産んだニュンペー。沈黙の女神ムータ・タキタとして悪口封じの呪術で祀られた。
解説
概要
ラルンダ(Larunda、ラルンデ、ララ)は、ナーイアスのニュンペーで、河神アルモの娘、辻とローマ市の守護神ラレース・コンピターレースの母である。オウィディウス『祭暦』ではララと呼ばれる。
神話
オウィディウス『祭暦』第2巻が、ラルンダに結びつけられた唯一の知られる神話を伝える。
ララは河神アルモの娘で、あまりに饒舌なニュンペーであった。舌を慎めという親の助言を無視して、ユーピテルの秘密——ヤーヌスの妻であるニュンペーユートゥルナとの密通——をユーピテルの妻ユーノーに漏らした。ユーピテルは彼女の舌を引き抜き、メルクリウスに命じて冥界へ連れて行かせた。冥界で彼女はムータ(「沈黙の女」)となる。
途上、メルクリウスは彼女を犯し、生まれた双子が辻のラレースである。
名
ララは、ギリシア語のラロス(「おしゃべりな」)に由来するとオウィディウスは示唆する。ラルンダの本来の名は不明で、オウィディウスの語源は詩的な創作とみられる。
タキトゥスによれば、ラルンダはサビニの王ティトゥス・タティウスがローマに導入した神々の一つである。ラレースの母としての位置は、この古い伝承に基づく。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、《ララ(デア・ムータ)の胸像》の版画である(18世紀)。
舌を抜かれて沈黙の女神になるという物語が、この女神を規定する。饒舌への罰として沈黙が与えられ、沈黙の女神が辻の守護神を産む。
ムータ、タキタ(「黙する女」)の名で、死者の女神としても祀られた。2月のフェーラーリア祭では、老婆が魚の口を縫い合わせてタキタに捧げ、悪口を封じる呪術を行った。
関わる神格・伝承
父はアルモ、子はラレース。メルクリウスに犯された。ユートゥルナの密通を漏らした。
アンゲローナ——口を封じた沈黙の女神——と職能を共有する。
文化的足跡
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。オウィディウスの一挿話として、ラレースの起源譚に付随して言及される程度である。