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ジン
PLATE — جِنّ
ABRAHAMICA · 一神教の伝承
جِنّ

ジン

ジン · ジンニー · ジーニー

『シャー・ナーメ』の写本挿画(ウェルカム・コレクション)/CC BY 4.0 CC BY 4.0

火から造られた自由意志を持つ超自然の存在で、天使・人と並ぶ三つの理性ある被造物の一つ。信仰者にも不信仰者にもなり、審かれる。イスラーム以前の土地の霊と詩人の霊感の観念に遡り、他宗教の霊もジンとして体系に組み込まれた。

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解説

概要

ジンは、イスラーム以前のアラビアの信仰に起源を持ち、イスラームでも存在が認められている、目に見えない被造物である。煙のない炎から造られたとされ、人間と同じく自由な意志を持つ。そのため、神の教えを受け入れて信仰者にもなれば、拒んで不信仰者にもなる。英語の「ジーニー」は、この語に由来する。

なお本サイトの分類では、アブラハムの体系に含めて扱う。

三つの被造物

イスラームでは、理性を持つ被造物は三種あるとされる。光から造られた天使、火から造られたジン、土から造られた人間である。天使は神に背かないが、ジンと人間は自由な意志を持つ。ジンは人間と同じく自らの行いに責任を負い、裁かれ、天国にも地獄にも行く。クルアーン第72章「ジン」章は、ジンの一団がクルアーンを聞いて信仰に入る場面を語っている。イスラームを信じるジンもいるのであり、ジンは悪魔と同じものではない。

荒野の霊から神の被造物へ

イスラーム以前のアラビアでは、ジンは荒野や廃墟、墓地、樹木に宿る霊であった。詩人にはそれぞれジンがついて言葉を授けると考えられ、「ジンに憑かれた者」を意味するマジュヌーンは、狂気を指す語であると同時に、詩の霊感を表す語でもあった。イスラームはこうした霊を否定せず、神の被造物として教えの体系のなかに位置づけた。ジンはそれ自体が善でも悪でもないため、ほかの宗教の神々や霊をジンとして位置づけることもできた。退けるのではなく配置し直したという点で、ユダヤ教が異教の神々をシェディームとしたのと同じ構造をしている。

さまざまなジン

ジンには、強く狡猾なイフリート、反逆的なマーリド、人を誘惑するシャイターンなどがいる。シャイターンの長がイブリースである。墓場に住んで屍を食うグールも、ジンの一種とされた。

ソロモンとジン

クルアーンでは、ソロモン(スライマーン)がジンを従え、建物を建てさせ、海に潜って真珠を採らせたと語られる。ソロモンは風をも従えた。ジンを使役するソロモンの伝承は、ユダヤ教の伝承とも共通している。

建物の中に座る王が建築家と話している。その周りで、角と牙を持つ色鮮やかな異形の者や、翼のある天使が仕えている
神殿の造営を指図するスライマーン(ソロモン)と、仕えるディーヴ(ジン)や天使(ペルシア語『預言者伝』写本の挿絵、1580年、ニューヨーク公共図書館)作者不明 / パブリックドメイン — Wikimedia Commons

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、『シャー・ナーメ』の写本の挿絵(ウェルカム・コレクション)である。

関わる伝承

イブリース、イフリート、マーリド、グールを含み、シェディームと同じ型に属する。

ペルシアの翼ある美しい存在ペリは、ジンと異なり、ふつう超自然の悪をなさない。

イスラームの伝承では、墓のなかで死者の信仰を問う二天使ムンカルとナキールの打つ音が、人とジンを除くすべての生き物に聞こえるとされる。

文化的足跡

『千夜一夜物語』の「ランプの精」を通じて、ジンは西洋で「ジーニー」として知られるようになった。ただし、願いを叶えてくれる存在という理解は、もとのジンの観念とは大きく異なる。

なおユダヤ教・キリスト教・イスラームは今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその伝承と観念の歴史に関する学術的な整理である。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q3465 — 骨格データの出典