1世紀から5世紀のあいだに成立したとみられるギリシア語の偽典。ソロモン王が大天使ミカエルから神の名を刻んだ指輪を与えられ、これによって悪魔を使役し、エルサレム神殿を建てさせたと語る。
王が悪魔を一体ずつ呼び出して名・司る病・これを退ける天使の名を問いただす、という問答の形式をとる。悪魔祓いの実用の書として用いられたとみられ、病と対応する天使の名を知ることが治療の手段とされた。アスモデウス、ベルゼブブ、リリスの系列のオブュザトなどが現れる。
ソロモンを魔術師とする伝承の最古層をなし、のちの『ソロモンの小さな鍵』をはじめとする西欧のグリモワールの源流となった。ユダヤ教・キリスト教・イスラームのいずれにおいても、ソロモンが霊を支配する王として語られる伝承の背景にある。