ジャーンバヴァティー
ジャーンバヴァットの娘 · クリシュナ第三妃
熊王ジャーンバヴァットの娘でクリシュナの妃。シャマンタカ宝珠をめぐる争いの決着として、父から差し出された女性である。
解説
概要
ジャーンバヴァティー(Jāmbavatī / जाम्बवती)は、熊王ジャーンバヴァットの娘であり、クリシュナの妃の一人である。シャマンタカ宝珠をめぐる争いの決着として、父から婿へ差し出された。ルクミニー、サティヤバーマーと並んで主要な后妃に数えられ、その子サーンバがヤーダヴァ族の滅亡を招く一因となる。
神話・物語
『バーガヴァタ・プラーナ』第十巻が伝える。父ジャーンバヴァットは獅子を討ってシャマンタカの宝珠を手に入れ、洞窟で幼い子の玩具として与えていた。弟プラセーナの死をめぐる疑いを晴らすため、クリシュナは跡を追って洞窟に入る。
洞窟の奥で、彼女は父と見知らぬ男が二十八日にわたって組み合うのを見ていた。ついに力尽きた父は、これほどの相手はかつてラーマただ一人であったと悟り、目の前の男がその同じ存在であることを認める。詫びた父は宝珠とともに娘を差し出した。
以後、彼女はドヴァーラカーの后妃の一人となった。ルクミニーの慎ましさ、サティヤバーマーの激しさに対して、彼女は森に育った者として描かれることが多い。夫に子を求めてシヴァへの苦行を勧め、その恩寵によってサーンバを得たと語られる。
その子サーンバは、聖仙たちを欺いた罰として鉄の杵を産み落とす呪いを受け、砕かれて海に捨てられたその杵の破片が葦となって、ヤーダヴァ族が互いを打ち殺す同族争いの武器となった。宝珠から始まった縁が、一族の滅亡へつながっていく。
図像と象徴
固有の像容はほとんど伝わっていない。南インドの寺院では、ルクミニーとサティヤバーマーに次ぐ第三の妃として主神の傍らに配される作例がある。象徴となるのはシャマンタカの宝珠であり、父が手放したものが娘とともに渡されるという構図が、この人物の位置を示している。
系譜と関係
父は熊王ジャーンバヴァット。夫はクリシュナ、子はサーンバら。ルクミニー、サティヤバーマーとは后妃の位を分かち合う関係にある。父が『ラーマーヤナ』にも登場する長命の存在であることから、彼女もまた二つの叙事詩をまたぐ家系に属することになる。
文化的足跡
宝珠の事件は、クリシュナが二人の妃——彼女とサティヤバーマー——を得る経緯として語られる。父の敗北が婚姻に転じるという型は、南アジアの説話に類例が多い。
彼女を主役とする独立した説話はほとんどなく、単独の信仰も伝わらない。それでも系譜の上では重要で、ヤーダヴァ族の滅亡を招く杵の呪いが、彼女の子を通じてもたらされたという一点が、この人物の位置を決めている。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。