テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
イシュ・チェル
PLATE — IXCHEL
MAYA · マヤ神話
IXCHEL

イシュ・チェル

イシュチェル|イシュ・チェル|イシュチェール|チャク・チェル|Chak Chel|Ix Chel|Ixchel|虹の女神|神O|神I

Museum of Fine Arts, Boston(所蔵番号 1988.1282) PUBLIC DOMAIN

マヤ神話の女神で、月・水・出産・医療・織物を司るとされる。近代の研究は、機を織る若い月の女神(神I)と、水を注ぐ老いた女神チャク・チェル(神O)の二つの相を区別する。コスメル島の神託所は名高い巡礼地であった。

01

解説

概要

イシュ・チェル(Ixchel、「虹の女神」の意とされる)は、マヤ神話の女神で、月・水・出産・医療・織物を司る。産婆と薬草使い、機織りの女たちの守護神であり、ユカタンやグアテマラの女性たちは、豊穣と安産、治癒を願って彼女のもとへ巡礼した。

神話・物語

「イシュ・チェル」という名は、16世紀のスペイン側の記録に現れる呼称である。近代の図像研究は、この女神像に二つの相を区別する。若い月と機織り・出産の女神(神I)と、水と洪水・医療を司る老いた女神チャク・チェル(シェルハス分類の神O)である。今日ひろく知られる「月の女神イシュ・チェル」の像は、この両者を重ねた後世の理解を含んでおり、彼女を単なる月神とみなすことには研究者から慎重論も出されている。配偶者については、太陽神キニチ・アハウとする伝えと、創造神イツァムナーとする伝えがあり、後者では二神のあいだに13人の子が生まれたとされる。

図像と象徴

若い相のイシュ・チェルは、月を表す兎を伴い、腰機(こしばた)で布を織る乙女として描かれる。対して老いた相のチャク・チェルは、ドレスデン絵文書などで、瓶から水を大地に注ぐ姿で表される。これは洪水として解される。頭に蛇を戴き、両手両足は鉤爪となり、交差した骨を織り込んだ裳をまとう。本サイトが掲げるのは、ボストン美術館所蔵の女神Oの像である。

系譜と関係

イシュ・チェルは四方の雨神チャクや地下水を司る老神バカブと密接に結びつく。カリブ海に浮かぶコスメル島には彼女の神託所が置かれ、先コロンブス期のアメリカでも有数の巡礼地となった。スペイン人は、近隣の島にイシュ・チェルの女性像が多いのを見て、その島を「女の島(イスラ・ムヘーレス)」と名づけた。

文化的足跡

コスメル島へ舟で渡る巡礼は「聖なるマヤの旅」として現代に再現されている。

なおメソアメリカの先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。

02

領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

収載データなし
収載データなし
フル系図ページを開く →
04

資料

Wikidata
Q1772980 — 骨格データの出典
Commons
Ixchel — 図像カテゴリ