ケト・マク・マーガハ
ケト · ケット・マク・マーガハ · Cet mac Magach
アイルランド神話のコナハトの戦士。コナル・ケルナハの伯父にして宿敵であり、投石でアルスター王を死に至らしめた。
解説
概要
ケト・マク・マーガハ(Cet mac Mágach)は、アルスター物語群に登場するコナハトの戦士である。アルスターの英雄コナル・ケルナハと生涯にわたって反目した。稿本によっては、コナルの母の兄——すなわち伯父にあたる。
物語に現れるのは三篇である。『マク・ダ・ホーの豚』、『コンホヴァルの死』、そして『ケト・マク・マーガハの死』。いずれも彼の誇りと、その誇りが最後に破られる場面を扱う。
神話・物語
妹フィンホーヴが身ごもったとき、生まれる子はコナハトの男の半ばより多くを討ち、つねに腰にコナハト人の首を下げるだろうと予言された。彼は赤子を踵の下に敷いて首を折ろうとする。首は折れず、曲がったまま残った。甥コナルの曲がった首は、この伯父の手によるものである。
『マク・ダ・ホーの豚』では、レンスターの饗応主の館でアルスターとコナハトの戦士が英雄の分け前を競った。手柄を誇り合う場で、ケトは名乗り出る者を一人ずつ、かつて自分がどう打ち負かしたかを思い出させて黙らせていく。ケルフハルを槍で去勢した一件までも数え上げ、ついに肉を切り分けようとしたそのとき、コナル・ケルナハが現れた。コナルの誇りはケトのそれをも上回る。ケトは敗北を認めたうえで、弟アンルアンがここにいれば話は違ったと言い放った。コナルは答える代わりに、切り落としたばかりのアンルアンの首を投げてよこした。
『コンホヴァルの死』では、彼はアルスター王コンホヴァル・マク・ネサを討つ。コナル・ケルナハが戦利品として持ち帰っていた、レンスター王メスゲグラの石灰で固めた脳の球を盗み出し、投石具で放って王の頭に埋め込んだのである。医師は取り出せば死ぬと告げ、縫い込んだまま安静を命じた。七年後、王は激昂して球を飛び出させ、死ぬ。
自らの最期も語られる。ある冬の日、アルスターへ襲撃をかけて二十七人を討ち、その首を取った。雪が降っていたため、コナル・ケルナハは跡をたどることができる。追いついたものの、コナルはこの相手と向き合うことをためらった。御者に臆病者と責められてようやく浅瀬で対峙し、凄まじい戦いの末にケトを討つ。コナル自身も瀕死になった。
図像と象徴
図像は伝わらず、当サイトも主画像を掲げない。
この戦士に結びつく標識は、首と、脳の球である。誇りの数え上げが首の数によって行われ、切り落とされた弟の首によって黙らされ、そして固めた脳を武器として王を討つ。古代ケルトの首級崇拝——首を魂の座とみる観念——を背景に読むのが通例だが、物語のなかで首はもっぱら、誇りを計る単位として働いている。
系譜と関係
妹はフィンホーヴ、その子が甥コナル・ケルナハ。弟にアンルアン。
彼と甥の関係は、物語群における敵対の型を代表する。血縁でありながら別の国に属し、一方が他方の身体に消えぬ痕を残し、最後には殺し合う。コナルが伯父を討つのをためらう場面は、この関係が単なる憎悪でないことを示している。
文化的足跡
『ケト・マク・マーガハの死』は『レンスターの書』の一写本(エディンバラ写本)にのみ伝わり、クノ・マイヤーが1906年にはじめて校訂と英訳を発表した。中世アイルランドには「死の物語」(aided)という一群があり、主要人物の最期をそれぞれ独立した一篇として語る。この人物は敵役でありながら、そうした一篇を与えられた数少ないコナハト方の戦士である。