ニンイシナ
ニンイシナ · イシンの女主 · Ninisina
イシンの守護女神で癒しの神格。神的な医師・助産婦と記され、悪霊を追い払う力も持つ。犬を象徴とし、イシンの神殿からは多数の犬の埋葬が発掘された。イシン王朝の守護神で、のちグラに吸収された。
解説
概要
ニンイシナ(Ninisina、シュメール語で「イシンの女主」)は、メソポタミアの女神で、都市イシンの守護神を務めた。癒しの神格とみなされた。
医術に長けていると信じられ、神的な医師あるいは助産婦と記されえた。医術の役割の延長として、さまざまな悪霊を追い払うこともできると信じられた。その象徴には、メソポタミアの癒しの女神に一般的に結びつけられる犬のほか、医術の実践者に結びつけられる道具と衣が含まれた。
信仰
イシン第一王朝(前2017〜1794年)の時代、ニンイシナは王朝の守護神として重要な位置を占めた。女神の神殿エガルマフはイシンの中心的な神殿であった。
イシンの没落ののち、ニンイシナの祭祀はグラに吸収された。バビロンではグラ、シッパルとテルカではニンカラック、ラガシュではバウ——地域ごとに異なる名の癒しの女神が、次第に一つの神格として理解されるようになった。
図像と象徴
犬が最も重要な象徴である。イシンのグラ神殿の発掘では、三十体を超える犬の骨が儀礼的に埋葬された状態で見つかった。犬の像を捧げる奉納も多数出土する。主画像は、ニンイシナが吸収された癒しの女神グラを描いた近代の図である。
系譜と関係
アヌとウラシュの子とされる。夫はパビルサグ、子はダムとグヌラ。グラ、ニンカラック、バウと習合。
文化的足跡
イシンのグラ神殿の犬の埋葬は、古代における犬と医療の結びつきを示す考古学的な証拠として、繰り返し論じられている。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。