アレートス
アレトス · Aretus · Arētos
ギリシア神話の数人の人物の名。アキレウスの神馬を奪おうとしてアウトメドーンに討たれたプリアモスの子、テーレマコスを迎えたネストールの子、アルゴナウタイと戦ったアミュコスの部下などが知られる。
解説
概要
アレートス(Ἄρητος)は、ギリシア神話に現れる数人の人物の名である。いずれも大きな物語の周辺に登場する脇役である。
同名の人物たち
トロイア王プリアモスの五十人の息子の一人のアレートスは、『イーリアス』第17巻に登場する。パトロクロスが討たれたのち、アキレウスの御者アウトメドーンが戦車を立て直すと、ヘクトールとアイネイアースは神馬を奪おうとして迫り、クロミオスとアレートスもこれに続いた。アウトメドーンの投げた槍はアレートスの楯を貫いて腹に刺さり、彼は倒れて武具を剝がれた。別の伝えでは、アレートスは兄弟エケンモーンとともにオデュッセウスに討たれたとされる。
ピュロス王ネストールとエウリュディケー(あるいはアナクシビアー)の子のアレートスは、『オデュッセイア』第3巻で、テーレマコスを迎えた犠牲の場面に兄弟たちとともに現れ、水盤を運ぶ役を務める。
ベブリュケス人の王アミュコスの部下のアレートスは、アポローニオス『アルゴナウティカ』第2巻に登場する。ポリュデウケースとの拳闘のため王の手に籠手を結びつける役を手伝い、王が倒れたのち部下たちがアルゴナウタイに襲いかかったとき、エウリュトスの子イーピトスを打ったが、クリュティオスに討たれた。
このほか、ビアースとペーローの子で、ペリアースの妻アルペシボイアの兄弟のアレートス、ノンノス『ディオニューソス譚』のインド戦争に登場する二人のアレートスがいる。その一人はインド王デーリアデースの側に無理に加わった者で、婚礼の日にアプロディーテーに犠牲を捧げていたとき、身ごもった雌豚が海の生き物の群れを産んだため、海の声なき生き物のように口のきけない子が生まれ続けると予言された。妻ラオビエーとのあいだの息子たちリュコス、ミュルソス、グラウコス、ペリパース、メラネウスは口がきけなかったが、戦ののちディオニューソスがその声を取り戻させた。もう一人はディオニューソスの軍の戦士で、デーリアデースに討たれた。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
プリアモスの子、ネストールの子、アミュコスの部下、ビアースの子などはいずれも別人である。