アプカルル
アプカルル · アブガル · 七賢者
エンキ/エアが遣わした七柱の半神で、洪水前に人類へ文明の技を教えた。魚の皮をかぶった人、鳥頭の翼の人などの姿でアッシリア宮殿の浮彫に描かれ、松かさと桶で浄めの所作をする。第一の賢者はアダパ=オアンネス。
解説
概要
アプカルル(Apkallu、シュメール語ではアブガル)は、楔形文字の碑文に見られる語で、一般に「賢い」あるいは「賢者」を意味する。
いくつかの文脈においてアプカルルは七柱の半神であり、ときに半人半魚あるいは半人半鳥と記され、人間の知恵と結びつけられる。これらの存在は学術文献においてしばしば「七賢者」と呼ばれる。ときに賢者は特定の原初の王と結びつけられる。
大洪水ののち、さらなる賢者と王が列挙される。洪水後の賢者は人間とみなされ、一部の文献ではアプカルルではなくウンマーヌと呼ばれて区別される。
七賢者
洪水前の七賢者は、エリドゥのエンキ/エアによって遣わされ、人類に文明の技——都市の建設、農耕、法、書記——を教えたとされる。第一の賢者ウアンナ(アダパと同一視される)は、ベーロッソスのギリシア語の記述ではオアンネスと呼ばれる。
『バビロニア誌』を書いたベーロッソス(前3世紀)によれば、オアンネスは魚の身体に人の頭と足を持ち、ペルシア湾から現れて昼のあいだ人に文字と技術と法を教え、夜には海へ戻ったという。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、「混沌の怪物と太陽神」と呼ばれる円筒印章の図である。
アッシリアの宮殿の浮彫に、アプカルルの図像は繰り返し現れる。三つの型がある。魚の皮をかぶった人(プルル)、鳥の頭を持つ翼の人、そして翼を持つ人である。いずれも右手に松かさ(あるいは浄めの器具)、左手に桶を持ち、王あるいは聖樹に向かって浄めの所作をする。
小像として家の敷居の下に埋められた例も多く、厄除けの機能を果たした。ラフム、ラマッスと同じ用法である。
洪水前の知恵という観念が、この存在を規定する。文明の技はすべて洪水以前に神から与えられ、洪水後の人間はそれを受け継ぐにすぎない。新しい知恵はなく、あるのは古い知恵の回復である。
関わる神格・伝承
エンキ/エアに遣わされた。ウアンナ=アダパ=オアンネス。ウンマーヌ(洪水後の賢者)と対をなす。
文化的足跡
アプカルルの浮彫は、大英博物館、ルーヴル美術館をはじめ各地に収蔵され、アッシリア美術の代表的な主題の一つである。魚の皮をかぶった姿は、司祭の実際の装束を写したものとみられる。