ウォルトゥルヌス
ヴォルトゥルヌス · Volturnus
エトルリア起源のテヴェレ川の神で、固有の神官と祭(8月27日)を持ったが、ローマのティベリーヌスに取って代わられ共和政末期には忘れられた。娘ユートゥルナ、孫フォンス。南東の風の名でもある。
解説
概要
ウォルトゥルヌス(Volturnus)は、ローマの古い神で、川、とりわけテヴェレ川の神と考えられている。固有の神官フラーメン・ウォルトゥルナーリスをもち、8月27日に祭ウォルトゥルナーリアが営まれた。エトルリアに由来する神とみる説がある。
神話・物語
固有の物語は伝わらない。ウァッロー『ラテン語論』は、ウォルトゥルナーリアがウォルトゥルヌスという神の祭であることや、その神に仕える神官がいたことを説明している。固有の神官をもつほどの神でありながら、前1世紀のウァッローがわざわざ説明を加える必要があったことは、共和政末期にはすでに神の性格が分かりにくくなっていたことを示している。テヴェレ川の神としての役割は、やがてティベリーヌスに取って代わられたとみられる。
泉の女神ユートゥルナをウォルトゥルヌスの娘とする伝えがある。ユートゥルナはヤーヌスと結ばれ、泉の神フォンスを産んだとされる。
ウォルトゥルヌスは南東の風の名でもあり、ウィトルウィウスやプリニウスは、ギリシアのエウロスにあたる風としてこの名を挙げる。カンパニアには同じ名の川(現在のヴォルトゥルノ川)が流れる。川の神と風の名が同じである理由ははっきりしない。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
娘をユートゥルナとする伝えがあり、その子フォンスは孫にあたる。テヴェレの神としてはティベリーヌスと役割が重なる。
文化的足跡
カンパニアのヴォルトゥルノ川は、1860年にガリバルディの軍がナポリ王国の軍を破ったヴォルトゥルノの戦いの舞台として、イタリア統一の歴史に名を残している。