リブ
リブ · アルブ · リブクシャン
ヴェーダの三柱の神で、もと太陽の神格、のち風の神格を指したが、後代には技と苦行によって神性を得た三人の職人となった。トヴァシュトリが造った一つの杯を四つに分けるなど四つの業を成し、神々に不死を認められた。
解説
概要
リブは、古代インドのヴェーダに現れる神々で、その指すものは時代とともに移り変わった。初期の層では太陽の神、のちには風の神を指し、さらにのちの時代には、その技と苦行によって神となった三人の男の職人、リブ、ヴァージャ、ヴィブヴァンの三兄弟を指すようになった。神々の工匠トヴァシュトリが造った杯を四つに分けるという技によって、神々に認められて不死を得たと語られる。人が手の技によって神になるという、ヴェーダのなかでは珍しい物語である。
なお本サイトの分類では、ヒンドゥーの体系に含めて扱う。三柱が常に組で現れるため群記事とする。
技によって神になる
リブの三兄弟は、スダンヴァンの子である。三人は、四つの技を成し遂げたという。インドラのために二頭の栗毛の馬を造り、アシュヴィン双神のために車を造り、一頭の牛を造ってそこから乳を出させ、そして神々の工匠トヴァシュトリが造った一つの杯を、四つに分けた。最後の技が最も重要である。自分の技を越えられたトヴァシュトリは怒り、三人を殺そうとしたが、神々は三人の技を認め、不死と、神聖な飲み物ソーマの分け前を与えた。手の技が神になる道として認められているのであり、ヴェーダのなかでは珍しい物語である。
ヴェーダの祭祀のなかで
『リグ・ヴェーダ』には、リブに捧げられた讃歌が十一ある。ソーマの祭では一日に三度ソーマが搾られ、朝はインドラらに、昼はインドラと嵐の神々マルトに、そして三度目の夕べの搾りがリブや太陽の神サヴィトリらに割り当てられた。ヴェーダ以後の文献では、リブへの言及はほとんど見られなくなる。
神々のための職人
神々のために物を造る職人という主題は、インド・ヨーロッパ語族の神話に広く見られる。ギリシアのヘーパイストスや、北欧の小人の職人たちがその例である。北欧でイーヴァルディの息子たちが、小人ブロックとシンドリと技を競う場面は、リブがトヴァシュトリと技を競う話に対応している。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる神格・伝承
トヴァシュトリと技を競い、インドラやアシュヴィン双神のために物を造った。
文化的足跡
リブは、ヴェーダの研究のなかで、職人の社会的な地位を論じる際に引かれる。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。