レファイム
レファイム · ラピウマ · Rephaim
旧約聖書で背の高い先住民を指すと同時に、シェオルの死者の霊をも指す語。ウガリットでは「ラピウマ」として死んだ王たちの霊を指し、即位や葬礼の宴に招かれた。旧約聖書ではこの祖先の霊が、滅ぼされた異民族に読み替えられている。
解説
概要
ヘブライ語聖書、およびこの地域の非ユダヤ的な古代の文書において、北西セム語の「レファイム」(レファイーム)は、『申命記』2章10〜11節において平均より大きな背丈と体格の民を指し、あるいは以下に記されるように、来世シェオルにおける死者の霊を指す。
なお本サイトの分類では、フェニキア/ウガリットの体系に含めて扱う。
二つの意味
巨人。 旧約聖書において、レファイムはカナンの先住民のうち、背の高い一族を指す。
『申命記』3章は、バシャンの王オグを「レファイムの生き残り」とし、その鉄の寝台が九キュビト(約4メートル)あったと記す。
死者の霊。 同時に、シェオル(陰府)に住む死者の霊をも指す。
『イザヤ書』14章に、バビロン王の下りに際してレファイムが立ち上がって迎える場面がある。
なぜ同じ語か。 巨人と死霊が同じ語で呼ばれる理由は、長く議論されてきた。
ウガリットのラピウマ
ウガリットの文書に、「ラピウマ」と呼ばれる存在が現れる。
祖先の霊。 死んだ王たちの霊である。
宴に招かれる。 王の即位や葬礼に際して、ラピウマが宴に招かれる儀礼が行われた。
KTU 1.161。 ウガリット最後の王アンミスタムルの葬礼の文書が出土している。
歴代の王の名を呼び、太陽女神シャプシュとともに下るよう求める。
死んだ王が神になる。 イリブの観念と結びつく。
旧約聖書における変換
旧約聖書は、この観念を否定的に扱う。
祖先崇拝の禁止。 死者に問うことは厳しく禁じられる(『申命記』18章)。
神格の否定。 死者の霊は力を持たない。「レファイムは起き上がらない」(『イザヤ書』26章14節)。
先住民として。 巨人としてのレファイムは、征服されて滅びた民として描かれる。
神から民へ。 祖先の霊が、滅ぼされた異民族に読み替えられている。
ネフィリム
『創世記』6章の「ネフィリム」(神の子らと人の娘の子)と関連づけられることがある。
別の語。 ただし両者は別の語であり、直接の関係は確認されていない。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、巨人ウージュと預言者たちを描いた図である(ハリーリ・コレクション、イスラーム美術)。
関わる神格・伝承
ウガリットのラピウマ。イリブと結びつく。
文化的足跡
「レファイムの谷」は、エルサレム近郊の実在の地名である。