ポレヴィト
ポロヴィト · ボロヴィト · プルヴィト
リューゲン島カレンツァで祀られたスラヴの神。職能は不明で、五つの顔を持ち武器を持たない像の描写だけが伝わる。史料はサクソとクニュートリンガ・サガの二つのみ。
解説
概要
ポレヴィト(ラテン語 Poreuit、ポロヴィト、ボロヴィトとも)は、職能の分からないスラヴの神である。史料はサクソ・グラマティクスの『デンマーク人の事績』と『クニュートリンガ・サガ』の二つしかない。
歴史的に確かなのは、五つの顔を持ち、武器を持たない像の描写だけである。
神話・物語
1168年、デンマーク軍がリューゲン島のカレンツァを接収したのちの出来事として、サクソはこう記す。
ルギェヴィト像の破壊に満足しなかった補助部隊の一団は、隣の神殿で崇められていたポレヴィトの像へ貪欲に向かった。この偶像は五つの頭を持っていたが、脇に装飾を彫られてはいなかった。これを引き倒したのち、彼らはポレヌティウスの神殿へ向かった。
同じ内容は『クニュートリンガ・サガ』にも記され、そこではプルヴィト(Puruvit)という崩れた形で挙げられている。
伝わるのはこれだけである。神話も、祭儀も、職能も記録されていない。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、エイレット・サムズ『ブリタンニア・アンティクア・イッルストラータ』(1676年)に載る銅版画である。W・ドレセの手になるもので、サクソの記述から想像して描かれたものであり、中世の神像の写生ではない。
五つの顔と、武器のないこと。この二点だけが原典に由来する。多面という点ではルギェヴィト(七面)、スヴェントヴィト(四面)、トリグラフ(三頭)と同じ系列にあり、武器を持たない点でルギェヴィトと対照をなす。
関わる神格・伝承
名の第一要素は、通常スラヴ祖語の *pora——「押すこと、突くこと」「力、努力、全力」「骨折り仕事の時期」——に結びつけられる。この語源に立てば、名はポレヴィトあるいはポロヴィトと読まれる。ポロヴィトの読みを支持する立場は、たとえばロシア語 порови́тый を引く。
ポーランドの中世史家ヤツェク・バナシュキェヴィチは、カレンツァの三神を、社会の存立にとって基本的な領域を分担する組とみる。ルギェヴィトが戦と共同体を司る主神であり、ポレヴィトとポレヌトはその普遍的な性格を補う双子神である、という読みである。
双子神に共通する特徴として、名の前半あるいは後半が繰り返されることが挙げられる。バナシュキェヴィチによれば、ポレヴィトとポレヌトは前半(pora)を共有する。また双子はしばしば相反する性格を持つ。ポレヴィトは「肯定的」な双子であり、その名は「力の主、あらゆることに対処できる主」と理解すべきものだという。対するポレヌトは「否定的」な双子とされる。
いずれも像が五面である点も、この読みを支える。ルギェヴィトより二つ少ない。
文化的足跡
この神について語りうることは、破壊の記録に尽きる。神話が失われたのではない。書き留められることがなかったのである。
スラヴの異教についての証言がほとんどキリスト教徒の手になることを、ポレヴィトほど端的に示す例は少ない。像を斧で倒した者たちが、その像に顔がいくつあったかを数えて書き残した。数えられたものだけが残っている。