テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
プラ・メー・トラニー
PLATE — พระแม่ธรณี
DHARMA · 仏教の尊格
พระแม่ธรณี

プラ・メー・トラニー

メー・トラニー · ナーン・トラニー · ヴァスンダラー

バンコク・ワット・ホン・ラッタナラーム本堂の壁画。髪を絞るトラニー/CC BY-SA 4.0 CC BY-SA 4.0

東南アジア上座部仏教の大地の女神。釈迦の成道をマーラが妨げたとき、過去世の功徳の証として自らの髪を絞り、溢れた水で魔の軍勢を押し流した。髪を絞る姿で寺院の壁画や水の器に描かれる。

01

解説

概要

ヴァスンダラーあるいはダラニーは、東南アジアの上座部仏教の神話における大地の女神である。似た大地の神格として、プリティヴィー、クシティ、金剛乗のヴァスダーラー菩薩、ヒンドゥー教のブーミデーヴィーがある。

東南アジア各地でさまざまな名で知られる。クメール語ではネアン・コンヒン(「貴婦人」)あるいはプレア・トロニー、プレア・メー・トロニー(「母なる大地の女神」)。ビルマ語ではワトンダレー(パーリ語ヴァスンダラー「大地」に由来)。タイ語ではトラニー(パーリ語ダーラニー「地面、大地」に由来)で、ナーン・トラニー、メー・トラニー、プラ・メー・トラニーなどの呼称がある。

神話・物語

最もよく知られるのが、釈迦の成道の物語である。菩提樹の下で悟りを開こうとする釈迦を、魔王マーラが軍勢を率いて妨げた。マーラが「お前の功徳を証明する者はいるか」と問うと、釈迦は右手で大地に触れた(触地印)。

そのとき大地の女神トラニーが現れ、釈迦が過去世に積んだ功徳の証として、自らの髪を絞った。髪から溢れ出た水——釈迦が過去世に注いだ供養の水——は洪水となってマーラの軍勢を押し流した。

この物語はパーリ語の注釈書に遡り、東南アジアで独自に発展した。インドの仏伝には髪を絞る女神は現れない。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、バンコクのワット・ホン・ラッタナラームの本堂に描かれたトラニーの壁画である。

若い女性が跪いて長い髪を絞り、そこから水が流れ出る姿が定型である。ビルマ、タイ、カンボジア、ラオスの寺院の壁画、仏像の台座、水の器に繰り返し描かれる。

髪を絞るという動作が、この女神を規定する。大地が水を出して魔を退けるという構図であり、成道の証人として大地が現れる。触地印を結ぶ仏像の意味が、この女神の物語によって説明されている。

関わる神格・伝承

マーラと対立する。ヴァスダーラー、プリティヴィーと同源。

タイの寺院の入口に置かれる水の器には、トラニーの像が付けられることが多い。参拝者が手を洗う水が、女神の髪から流れる水に重ねられている。

文化的足跡

バンコクのサナーム・ルアン近くには、1917年に建てられたトラニーの祠があり、市民に水を供給する噴水として機能した。バンコクの水道事業の象徴として、女神の像が用いられた。

なお仏教と中国の民間信仰は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q1103522 — 骨格データの出典