ペルマール
ペルマール · ティルマール · マール
タミルにおけるヴィシュヌの名で「偉大な者」を意味する。サンガム文学の森の風景の牛飼いの神マールに遡り、北インドのヴィシュヌ・クリシュナと同一視された。アールヴァールのタミル語の詩集は、シュリーヴァイシュナヴァ派でヴェーダと同等の聖典とされる。
解説
概要
ペルマール(ティルマールとも)は、南インドのタミルの人々がヴィシュヌを呼ぶ名である。名は「偉大な者」を意味する。紀元前後のタミルの古典詩に歌われた牛飼いの神マールに遡り、やがて北インドのヴィシュヌやクリシュナと同じ神とみなされるようになった。6世紀から9世紀にかけて、タミル語でこの神を讃えた聖詩人たちの詩集は、ヴェーダと並ぶ聖典とされている。
なお本サイトの分類では、ヒンドゥーの体系に含めて扱う。
牛飼いの神マール
紀元前後から3世紀頃にかけて編まれたタミルの古典詩の集成(サンガム文学)は、土地を五つの風景に分け、それぞれに神を割り当てた。コッラヴァイが荒れ地の女神であったように、森の風景には、牛飼いたちが祀った黒い肌の神マールが割り当てられた。北インドのクリシュナもまた牛飼いの神であり、タミルのマールは、北のヴィシュヌ、クリシュナと重ね合わされていった。土地の神が、インド全体に広まった神と一つになった例であり、ムルガンとスカンダ、コッラヴァイとドゥルガーの関係とも同じ道筋である。
タミルのヴェーダ
6世紀から9世紀にかけて、十二人の聖詩人アールヴァールがタミル語でヴィシュヌを讃える詩を作った。その詩集『ナーラーイラ・ディヴィヤ・プラバンダム』(「四千の聖なる詩」)は、ペルマールへの愛を歌う。南インドのヴィシュヌ派(シュリーヴァイシュナヴァ派)では、この詩集がヴェーダと同じ重みを持つ聖典とされ、タミル語の詩がサンスクリット語の聖典と肩を並べる地位を得た。
アールヴァールたちが歌った百八のヴィシュヌの聖地はディヴィヤ・デーサムと呼ばれ、筆頭のシュリーランガムや、ヴェンカテーシュワラを祀るティルパティもそのなかに含まれる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、シュリーデーヴィーとブーデーヴィーを伴うペルマールの像である。
関わる神格・伝承
ヴィシュヌの別名で、ランガナーヤキー、ニーラーデーヴィーを配偶者とする。
文化的足跡
「ペルマール」は、今日もタミルの人々のあいだで男子の名として広く用いられている。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。