ペルセース
ペルセース · ペルセス · Perses
ティーターンのクリオスとエウリュビアーの子で、名は「破壊する者」を意味する。アステリアーを妻としヘカテーをもうけた。固有の物語を持たず、重要な女神ヘカテーに父を与えるためにのみ系譜に置かれた。
解説
概要
ペルセース(Πέρσης / Perses)は、ティーターンのクレイオスとエウリュビアーの子で、アステリアーとのあいだに女神ヘカテーをもうけた神である。ヘーシオドス『神統記』では「知恵においてすべてにまさる」と形容されるが、それ以上のことは語られない。
神話・物語
ペルセースについて伝わるのは系譜だけである。
『神統記』(409〜411行)は、アステリアーがペルセースの妻となってヘカテーを産んだと述べ、そのあとに続く長い一節をヘカテーの讃美に費やす。ゼウスがヘカテーを何よりも重んじ、大地と海と星空に分け前を与えたという内容で、父ペルセースはこの女神の出自を示すためにだけ登場する。
父の名は、娘の呼び名として残った。『ホメーロス風讃歌 デーメーテール讃歌』(24行)は、洞窟のなかでペルセポネーの叫びを聞いたヘカテーを「ペルサイオスの娘」と呼ぶ。ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』第3巻でも、メーデイアが祈る女神はペルセースの娘を意味するペルセーイスの名で呼ばれる。ペルセース自身の物語がなくとも、ヘカテーの添え名として父の名は詩のなかで生き続けた。
のちの伝えでは、ヘカテーの父をゼウスとする説も現れた(本サイトのヘカテーの項を参照)。
名は「破壊する者」を意味する語と結びつけて解されることがあるが、語源は確かではない。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
娘ヘカテーが三体一組の像や松明を持つ姿で広く表されたのとは対照的に、父の像を名指しできる作例は知られていない。
系譜と関係
父はクレイオス、母はエウリュビアー。兄弟はアストライオスとパラース。妻はレートーの姉妹アステリアー。娘はヘカテー。
同じ名をもつ別人が多い。ヘーリオスとペルセーイスの子で、兄弟のアイエーテースからコルキスの王位を奪ったペルセース、ペルセウスとアンドロメダーの子で、ペルシア人の名祖とされたペルセースなどである。ヘーロドトスは、ペルシア人が後者を祖とすると記している(『歴史』7.61)。
文化的足跡
ヘーシオドスには、同じ名の弟ペルセースがいた。『仕事と日』は、父の遺産をめぐって争ったこの弟への訓戒の形で書かれており、神ペルセースと混同されることがある。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。