アンドロメダー
アンドロメダ · アンドロメデー · Andromeda
母カッシオペイアの傲慢によって海の怪物への生贄とされ、岩に鎖でつながれたところをペルセウスに救われた。「囚われの姫と竜」の型の先駆とされる。
解説
概要
アンドロメダー(Ἀνδρομέδα)は、ギリシア神話の女性である。アイティオピア王ケーペウスと妃カッシオペイアの娘にあたる。
母が「自分は(あるいは娘は)ネーレーイスたちより美しい」と誇ったため、ポセイドーンが罰として海の怪物ケートスを遣わし、海岸を荒らさせた。神を宥めるには娘を岩に鎖でつなぎ、生贄として捧げるほかないと悟った王妃は、これを実行する。
メドゥーサの首を取る旅から戻る途中のペルセウスが彼女を見つけ、ギリシアへ連れ帰って妃とした。メドゥーサの首を用いてケートスを石に変え、海岸への害を止めたという。
神話・物語
この物語は古典古代以来、美術の主題として好まれてきた。ギリシアの英雄に救われる乙女という筋は、「囚われの姫と竜」の型の先駆と考えられている。
ルネサンス以降、オウィディウス『変身物語』に拠る原型への関心が復活した。以後、戯曲、詩、小説、歌劇、クラシックとポピュラーの音楽、映画、絵画と、あらゆる媒体に繰り返し現れている。
古典古代以来、この伝統は他の物語の要素を取り込んできた。聖ゲオルギオスと竜——英雄に馬を導入した——、そしてペーガソスの話である。似た筋を語るルドヴィーコ・アリオスト『狂えるオルランド』が、さらに混同を招いた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ポンペイ出土のローマ期の壁画である(ナポリ国立考古学博物館蔵 Inv.8998)。ペルセウスとアンドロメダーを描く。
図像の定型は、岩に鎖でつながれた裸の女である。古代の作例から近世の絵画まで、この構図が繰り返された。ルーベンス、ティツィアーノ、レンブラント、アングル、ドラクロワ——救出の瞬間を描いた作例は数えきれない。
母の傲慢が娘の犠牲を招くという構造に注意がいる。罰せられるのはカッシオペイアではなく、その娘である。ギリシア神話において神の怒りがしばしば当人以外に降りかかるという型を、この物語は典型的に示す。
関わる神格・伝承
父はケーペウス、母はカッシオペイア、夫はペルセウス。怪物ケートスを遣わしたのはポセイドーンである。
なお、この物語の舞台とされる「アイティオピア」がどこを指すのかは古代においても一定しない。図像における人物の描かれ方をめぐっては、近年批判的な検討も行われている。
文化的足跡
北天の相当の部分が、この物語の登場人物にちなむ星座で占められている。アンドロメダ座、ペルセウス座、カシオペヤ座、ケフェウス座、くじら座——一つの物語が、そのまま夜空の一区画になっている。
アンドロメダ銀河の名も、この星座に由来する。神話上の乙女の名が、二百万光年を超えて隔たる銀河の名になっていることになる。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。