ニンギシュジダ
ニンギシュジダ · Ningishzida · Ningišzida
「良き木の主」を意味する冥界と植物と蛇の神。肩から二匹の角ある蛇が生える姿で表され、グデアの個人的守護神であった。アダパの物語ではドゥムジとともに天門を守る。絡む二匹の蛇の図はカドゥケウスの起源として論じられる。
解説
概要
ニンギシュジダ(Ningishzida)は、メソポタミアの神で、冥界と植物、そして蛇に結びつけられた。名は「良き木の主」を意味する。
ニンアズの子であり、妻はニンアズィムア(あるいはゲシュティンアンナ)である。
職能
冥界の神であり、そこで門番あるいは玉座の運び手を務めた。同時に植物の神でもあり、名が示すとおり樹木——とりわけ地中に根を張るもの——に関わる。地下と植物の結びつきは、根が地下にあるという観察に基づく。
蛇がその象徴である。ラガシュのグデアは、ニンギシュジダを自らの個人的な守護神とし、その像には肩から二匹の角ある蛇が生える姿が刻まれた。
神話・物語
アダパ。 『アダパ』の物語において、ニンギシュジダはドゥムジとともにアヌの天門を守っている。アダパが喪服を着て彼らの死を悼んだため、二神はアダパのために取りなした。死んだ神が天門にいるという設定は、両者が冥界と結びつくことによる。
ニンギシュジダの冥界への旅。 シュメール語の哀歌は、この神がガッラーに捕らえられて冥界へ連れて行かれる次第を語る。姉妹が舟に同乗しようとするが、拒まれる。ドゥムジの死と同じ型の物語である。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、グデアの浮彫に刻まれたニンギシュジダである。肩から蛇が生える。
肩から二匹の角ある蛇(バシュム)が生えるという造形が、この神に固有である。人の姿の上半身から蛇が伸びる図は、メソポタミア美術のなかでも際立って特異である。
杖に絡む二匹の蛇の図像——グデアの壺に刻まれる——は、ギリシアのヘルメースのケーリュケイオン(カドゥケウス)の起源として論じられてきた。ただし直接の系統関係は確認されていない。
関わる神格・伝承
父はニンアズ、妻はニンアズィムア。グデアの個人的守護神。ドゥムジとともに天門を守る。
文化的足跡
グデアの壺(ルーヴル美術館蔵)に刻まれた二匹の絡む蛇の図は、医療の象徴としてのカドゥケウスの最古の類例として、医学史の文脈でしばしば引かれる。