ナナボゾ
ナナブシュ · ウェナボゾ · マナボゾ
オジブウェのトリックスターにして文化英雄。洪水ののち麝香鼠が持ち帰った土を亀の甲羅に置いて世界を作り直した——「亀の島」の由来。ロングフェローは別人ハイアワサの名で語り直した。
解説
概要
ナナボゾ(Nanabozho、ナナブシュとも)は、アニシナアベ——とりわけ北米のオジブウェ——の伝統的な語り(アーディゾーカーン)における霊である。世界の創造を含む物語で主要な位置を占める。オジブウェのトリックスターにして文化英雄——この二つの型は、ファースト・ネーションの神話においてしばしば一人に合わさる——である。
語りのなかで男女の動物や人間の姿をとる。最も多いのは、兎、大鴉、コヨーテといった、部族の近くに住み、捕らえるのが難しいほど狡猾な動物である。
神話・物語
ナナボゾの母は人間の女性、父は西風である。母は出産で亡くなり、ナナボゾは祖母ノコミスに育てられた。
大洪水のあと、ナナボゾは動物たちに水の底の土を取りに行かせた。潜っていったジャコウネズミは、死にかけながら一握りの土を持ち帰った。ナナボゾはその土を亀の甲羅の上に置いて大きくし、世界を造り直した。これが、北アメリカ大陸を指す「亀の島」の由来である。
ナナボゾには、双子あるいは兄弟の物語もある。弟が死に、ナナボゾがその死を悼んで冥界への道を造ったとも、狼の兄弟が水底の豹に殺され、ナナボゾがその仇を討ったとも語られる。
ナナボゾは、トリックスターでもある。アニシナアベの学者リアン・シンプソンは、ナナボゾがしばしば欲深く、人を操り、目先の利益を追い求め、その俗な欲望のために混乱を引き起こすと指摘している。聞き手は、その失敗を通して教えを得るのである。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、オンタリオ州ボン・エコー州立公園のマジノー岩に描かれた岩絵である。ナナボゾを表すと解される。
この存在を規定するのは、創造と失敗の同居である。世界を作り直す者が、同時に貪欲で愚かな失敗を重ねる。トリックスター兼文化英雄という北米の型を、最も明瞭に体現している。
亀の背に世界を作るという主題は、北米東部から五大湖にかけて広く分布する。
関わる伝承
ワバナキのグルースカップ、クリーのウィサケジャクと、創造者としての役を共有する。
祖母ノコミスは、ロングフェロー『ハイアワサの歌』(1855年)に借用された。ロングフェローはナナボゾの物語をイロコイのハイアワサの名で語り直したため、両者の混同が生じた。
アルゴンキン系の人々の伝承には、冬と飢餓を体現する人食いの霊ウェンディゴも語られる。
文化的足跡
『ハイアワサの歌』は19世紀に広く読まれ、ナナボゾの物語の細部——ノコミス、麝香鼠、亀の島——を西洋に伝えた。ただし別人の名で。
なお北米先住民の諸伝統は今日も継承されている生きた信仰であり、物語の多くは特定の民族・氏族に属するものとして語られる。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。