グルースカップ
グルスカベ · クルスカップ · グルースカップ
ワバナキ諸族の慈悲深い創造者にして文化英雄。悪を求める双子マルスミスと対をなし、人々に狩りと暮らしの技を教え、ファンディ湾の潮など地形を作った。ヨーロッパ人の到来を予言して東へ去ったという。
解説
概要
グルースカップ(Glooscap、グルスカベ、クルスカップなど綴りは多様)は、ワバナキ諸族——ヴァーモント、ニューハンプシャー、メイン、カナダ大西洋岸の先住民——の伝説上の存在である。その物語は19世紀にサイラス・ランド、次いでチャールズ・リーランドによって記録された。
創造者としての役において、オジブウェのナナボゾ、クリーのウィサケジャクと似る。ワバナキの各部族が伝説を自らの地域に合わせて変えたため変異があるが、常に「親切で、慈悲深く、悪と戦う戦士で、魔法の力を持つ」と描かれる点は一貫している。
神話・物語
アベナキ。 タバルダクが人間を創ったのち、その身体の塵からグルースカップと双子の兄弟マルスミスが生まれた。グルースカップには善い世界を創る力が与えられ、マルスミスはその逆で、今日まで悪を求めている。
グルースカップは、獲物を殺しすぎる狩人が自らの創った善い世界を破壊すると知り、恐れて祖母ウッドチャック(アガスクゥ)に助言を求めた。祖母は腹の毛をすべて抜いて——それゆえウッドチャックの腹には毛がない——魔法の袋を編み、これに獲物を入れて狩人に与える方法を教えた。
ミクマク。 グルースカップは雷によって岩から生まれ、あるいは創造者が矢で岩を射て生まれた。巨人であり、ワバナキの人々に狩りと漁と暮らしの技を教え、怪物を退治し、地形を作った。ノヴァスコシアのブロミドン岬はその住処とされ、ファンディ湾の潮の激しさはグルースカップが河狸の堰を壊したためという。
ヨーロッパ人の到来を予言し、東へ去ったとも語られる。いつか戻るという伝えがある。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、人を杉の木に変えるグルースカップを描いた図である。
この存在を規定するのは、慈悲深い創造者という一貫した性格である。コヨーテやレイヴンが貪欲や失敗を伴うのに対し、グルースカップは善の側に立つ。双子の兄弟が悪を担うという構成が、その分離を支えている。
地形の創造者としての相も重要である。ファンディ湾の潮、ブロミドン岬、五つの島——ワバナキの土地の目立った地形が、この存在の行為に帰されている。
関わる伝承
双子の兄弟はマルスミス。祖母はウッドチャック。創造者タバルダクの子とされる。
文化的足跡
ノヴァスコシアには、グルースカップの名を冠した公園、道路、施設が多い。ミクマクの人々にとって、この存在は今日も文化的な自己認識の中心にある。
なお北米先住民の諸伝統は今日も継承されている生きた信仰であり、物語の多くは特定の民族・氏族に属するものとして語られる。