ハイアワサ
ハイアワサ · アイエンワサ · Hiawatha
ハウデノサウニー(イロコイ)連邦の創建者の一人として伝えられる指導者。娘たちを殺されて悲しみに沈んだが、平和の使者に慰められ、その言葉を代わりに伝えて諸族を連盟にまとめた。ロングフェローの詩の主人公はオジブウェのナナボゾの話に基づく別の人物である。
解説
概要
ハイアワサ(アイエンワサとも)は、北米北東部のハウデノサウニー(イロコイ)連邦の創建者の一人として伝えられる指導者である。オノンダガ、あるいはモホークの人で、オノンダガに生まれてモホークに迎えられたとする伝えもある。平和の使者とともに、争い合っていた諸族を一つの連盟にまとめたと語られる。北米先住民の体系に含めて扱う。
ヘンリー・ワズワース・ロングフェローの詩『ハイアワサの歌』(1855年)の主人公は、名を借りただけの別の人物である。
神話・物語
ハイアワサは、呪術師タドダホ(タダダホ)に娘たちを殺され、悲しみのあまり森をさまよった。そこへ平和の使者が現れ、貝殻を連ねた紐(ワムパム)を用いて彼を慰めた。涙を拭い、耳を開き、喉を開くという言葉によって、悲しみのなかにいる者を人の世へ戻すこの「慰めの儀礼」は、今日もハウデノサウニーの首長の就任の際に行われている。
平和の使者は言葉がつかえたため、ハイアワサがその言葉を人々に伝えたという。二人は、ジゴンサシーの助けも得て諸族を説き、最後まで抗ったタドダホをも癒して連盟に迎え入れた。
信仰
連盟の成立の時期は、12世紀から16世紀まで諸説がある。連盟の五つの部族(のち六つ)を表すワムパムの帯は、ハイアワサの名にちなんで「ハイアワサ・ベルト」と呼ばれる。
図像と象徴
ハイアワサ本人を描いた古い図像はない。トマス・エイキンズの絵《ハイアワサ》など、19世紀に描かれた「ハイアワサ」の絵の多くは、ロングフェローの詩の主人公を描いたものである。本サイトは主画像を掲げない。
系譜と関係
平和の使者、ジゴンサシーとともに連盟を創建したと伝えられる。
文化的足跡
ロングフェローの『ハイアワサの歌』の主人公は、民族学者ヘンリー・スクールクラフトが集めたオジブウェのナナボゾの話に基づいている。スクールクラフトがすでにこの名を取り違えており、ロングフェローの詩によって、イロコイのハイアワサとオジブウェのナナボゾという別々の人物が一つにされた。詩は19世紀に大きな人気を集めて「ハイアワサ」の名を広めたが、今日では先住民の物語をロマン主義的に描いたものとして批判的に読まれている。北米に多い「ハイアワサ」を冠する地名や学校の名も、その大半はこの詩に由来する。
なお北米先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。物語のうちには氏族や個人の所有物として扱われるものがあり、公開の場で語ることが適切でない場合がある。