マールサー
マールサー · マハーラサー · Mhalsa
ゴアではヴィシュヌの女性の化身モーヒニーとして、マハーラーシュトラではシヴァの化身カンドーバの妃としてパールヴァティーと同一視されるヒンドゥーの女神。同じ名が二つの宗派で異なって理解される。カンドーバの第二の妻バーナーイーと二人で、商人と羊飼いの共同体を代表する。
解説
概要
マールサーは、インド西部で祀られるヒンドゥーの女神で、地域と宗派によって二つの異なる顔を持つ。ゴアでは、ヴィシュヌが変じた美女モーヒニーの一つの姿として祀られる。一方マハーラーシュトラでは、シヴァの一つの姿とされる民間の神カンドーバの第一の妻として、シヴァの妻パールヴァティーと同じものとされる。
信仰
モーヒニーは、神々と阿修羅が乳の海をかき回したとき、阿修羅たちから不死の霊薬アムリタを取り戻すために、ヴィシュヌが変じた美女である。ゴアの主な寺院はマルドルにある。
カンドーバには二人の妻がいる。第一の妻マールサーは、商人(リンガーヤト)の出とされ、第二の妻バーナーイーは、羊飼い(ダンガル)の出とされる。二人の妻はそれぞれ異なる共同体を代表しており、民謡のなかではしばしば争う。カンドーバの主な寺院ジェージュリーは丘の上にあり、正妻マールサーは寺院のなかで夫の傍らに祀られている。
図像と象徴
馬に乗ったカンドーバの前に坐る姿で表されることが多い。主画像は、ラヴィ・ヴァルマ・プレスの石版画で、カンドーバとマールサーが魔神マニとマッラを討つ場面を描く。
系譜と関係
カンドーバの妻であり、モーヒニーの一つの姿とされ、パールヴァティーと同じものとされる。
文化的足跡
ゴアのマルドルにあるマールサー寺院は、16世紀にポルトガルの支配を避けて現在地に移された寺院の一つで、今日も多くの巡礼者を集める。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。