バーナーイー
バーナーイー · バーヌ · バーヌ・バーイー
デカンの神カンドーバの第二の妻で羊飼いの首長の娘。カンドーバは羊飼いに身をやつして十二年その父の羊を世話し、彼女を妻にした。商人の出の正妻マールサーと頻繁に争い、定住民と遊牧の羊飼いの共同体の関係を映す。祠は寺院の外、丘の中腹にあるとされる。
解説
概要
バーナーイー(バーヌとも)は、ヒンドゥーの民間信仰で、インドのデカン高原、とりわけマハーラーシュトラ州で祀られる神カンドーバの二人目の妻である。羊飼いの首長の娘で、カンドーバは羊飼いに身をやつして十二年のあいだその父の羊の世話をし、ついに彼女を妻とした。商人の家の出である正妻マールサーとはしばしば争い、民謡のなかでその諍いが歌われてきた。
神話・物語
カンドーバは、デカン高原で広く信仰されるシヴァの一つの姿で、ジェージュリーの王とされる。そのカンドーバが、羊飼い(ダンガル)の共同体の首長の娘バーナーイーに恋をした。神は羊飼いの姿に身をやつし、十二年のあいだ娘の父の羊の世話をして、ついに彼女を妻に迎えたという。賭けに負けたふりをして奉公人になったとする版もある。
カンドーバの正妻マールサーは、商人の家の出とされる。一方のバーナーイーは羊飼いの娘である。民謡のなかで、二人の妻はしばしば争う。高い家柄の正妻は羊飼いの娘を見下し、羊飼いの娘は夫の愛を誇る。二人の妻の諍いは、畑を耕して定住する人々や商人の共同体と、羊を連れて移動する羊飼いの共同体との関係を映していると考えられる。
ジェージュリーのカンドーバの寺院は丘の上にある。正妻マールサーは寺院のなかで夫の傍らに祀られるが、バーナーイーの祠は寺院の外、丘の中腹にあるとされる。
信仰
バーナーイーは、とりわけ羊飼いの共同体のあいだで篤く信仰されている。
図像と象徴
主画像は、カンドーバ、マールサー、バーナーイーの三尊像である。
系譜と関係
カンドーバの二人目の妻で、マールサーと対をなす。
文化的足跡
カンドーバとバーナーイーの恋の物語は、マハーラーシュトラの民謡に歌い継がれている。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。