カンドーバ
マールタンダ・バイラヴァ · マルハーリ · マッラーリ
デカン地方でシヴァの顕現として祀られる神。マハーラーシュトラで最も広く奉じられる家門の守護神であり、カーストを問わずムスリムをも含む共同体に信仰される。
解説
概要
カンドーバ(Khaṇḍobā)は、マールタンダ・バイラヴァ、マルハーリの名でも知られるヒンドゥー教の神格である。シヴァの顕現として、インドのデカン地方——とりわけマハーラーシュトラ州とカルナータカ州——で広く祀られる。
マハーラーシュトラで最も広く奉じられるクラデーヴァター(家門の守護神)であり、マラーター(武人)の一部、農耕カースト、牧羊の共同体、バラモン諸カースト、そしてこの地域の丘陵と森に住む狩猟採集諸部族の守護神でもある。
この神の信仰はヒンドゥーとジャイナの伝統に接点を持ち、カーストを問わず——ムスリムをも含めて——あらゆる共同体を包摂する点に特徴がある。
神話・物語
民間の神格としての信仰は、少なくとも12世紀に遡る。カンドーバは、シヴァ、バイラヴァ、スーリヤ、スカンダの属性を併せ持つ複合的な神として成立した。テランガーナとアーンドラ・プラデーシュのマッランナ、カルナータカのマイラーラと同一視されることもある。
伝承の中心は、魔族マニとマッラとの戦いである。主要な典拠は『マルハーリ・マーハートミヤ』で、民謡でも語られる。
名の由来もこの物語による。カンドーバはカドガ(剣)——魔族を討つために用いた武器——と、敬称の接尾辞バ(父)の合成である。カンデラーヤは「カンドーバ王」、カンデラーオも同種の形である。サンスクリット文献ではマールタンダ・バイラヴァと呼ばれる。マールタンダは太陽神スーリヤの添え名、バイラヴァはシヴァの憤怒の相であり、この複合が神格の成り立ちをそのまま示している。
マッラーリあるいはマルハーリという名は、マッラとアリ(敵)に分解され、「魔族マッラの敵」を意味する。『マルハーリ・マーハートミヤ』は、マールタンダ・バイラヴァがマッラの勇敢さに感じ入り、「マッラーリ」の名を採ったと記す。
婚姻をめぐる物語も多く伝わる。第一の妃ムハルサーはバラモンの家の出、第二の妃バーナーイーは羊飼いの家の出とされ、二人の妃が異なる社会階層を代表するという構図をとる。信仰が複数の共同体を束ねてきたことの反映と解されている。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ラヴィ・ヴァルマ印刷所が1880年頃に刊行したリトグラフである。白馬に乗るカンドーバの前にムハルサーが坐し、槍で魔族の胸を貫いている。犬が魔族の腿に噛みつき、馬がその頭を蹴る。もう一方の魔族は馬の手綱を掴み、棍棒でカンドーバに打ちかかり、カンドーバは馬から降りながら剣で応じている。
ムールティ(神像)では、四臂にダマル(鼓)、トリシューラ(三叉戟)、バンダーラ・パートラ(ウコンの粉を容れた鉢)、カドガ(剣)を持つ姿で表される。マラーターの武将、あるいはムスリムのパターンの装いをすることもある。しばしば妃の一方または双方を伴い、一匹以上の犬を連れる。
シヴァの象徴であるリンガとしても祀られる。カンドーバの寺院では、非人格的なリンガと、馬上の人格的な姿の双方が置かれることが多い。
ウコンの粉(バンダーラ)を撒くことは、この神の祭祀を特徴づける所作である。参拝者は互いに黄色い粉を浴びせ合う。
関わる神格・伝承
シヴァの顕現とされ、バイラヴァ、スーリヤ、スカンダの属性を併せ持つ。
デカンの地方神が大伝統に接続される例としては、ヴィトーバと対をなす。ヴィトーバがヴィシュヌの側へ接続されたのに対し、カンドーバはシヴァの側へ接続された。同じ地域で二つの接続が並行したことになる。
文化的足跡
信仰の最大の中心は、マハーラーシュトラ州ジェジュリーのカンドーバ寺院である。祭の日には、ウコンの粉で丘全体が黄色く染まる。
ムスリムを含む諸共同体がこの神を祀ってきたという事実は、インドにおける宗教の境界がしばしば実践の場では引かれてこなかったことを示す。教義の上での区分と、祭りの場に集まる人々の実際とが一致しない——地方の祭祀を見るとき、繰り返し確認される事柄である。