メラニッポス
メラニッポス · Melanippus · Melanippos
「黒い馬」を意味する名。テーバイ攻めの七将の戦いでテューデウスと相討ちになり、瀕死のテューデウスに脳を啜られた者が最もよく知られる。アテーナーはこれを見て不死の授与を撤回した。
解説
概要
メラニッポス(Μελάνιππος、「黒い馬」)は、ギリシア神話の人物の名である。同名の人物が多数知られる。
同名の人物たち
アスタコスの子のメラニッポスは、テーバイの人で、スパルトイの末裔である。テーバイ攻めの七将の戦いでテーバイの側に立ち、テューデウスに致命傷を負わせた。テューデウスは死にかけながら、アムピアラーオスが切り落として持ってきたメラニッポスの首を割り、その脳を啜った。これを見たアテーナーは、テューデウスに与えようとしていた不死を取りやめたという。
カリュドーンの王オイネウスの子のメラニッポスは、テューデウスの兄弟で、一説によれば、テューデウスはこの兄弟を殺したためにカリュドーンを追われた。アレースとトリートーンの娘トリーテイアの子のメラニッポスは、アカイア地方に都市を築き、母の名にちなんでトリーテイアと名づけた。テーセウスとシニスの娘ペリグーネーのあいだにも、メラニッポスという子がいる。
パトライのメラニッポスは、アルテミスの女神官コマイトーと愛し合い、神殿で交わったため、二人ともアルテミスの怒りを受けて犠牲に捧げられた。それ以来、パトライでは毎年若い男女が女神に捧げられたという。このほか、アグリオスの子、ヒケターオーンの子などが知られる。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
第一のメラニッポスの死は、テューデウスの物語の要である。脳を啜るという行為が、英雄から不死を奪う。ギリシア神話において最も凄惨な場面の一つとされる。
テューデウスに関わる二人のメラニッポス——テーバイで討たれた者と、カリュドーンで殺された兄弟——が同名である点も見逃せない。テューデウスの生涯の両端に、同じ名の死者が置かれている。
関わる神格・伝承
第一はテューデウスと相討ちになった。第二はテューデウスの兄弟。
文化的足跡
日本語圏では、テューデウスが脳を啜った相手として言及される。テーバイ攻めの七将の物語のなかでも、とりわけ印象の強い場面である。