マウ
マウ · マフ · マウ・リサ
西アフリカのヴォドゥンにおける創造の女神で、太陽の神リサと対をなし、合わせて性を持たない一つの神をなす。粘土から人間を創り、大蛇アイド・フエドの背に乗って世界を巡った。日食は二神が交わることとされる。
解説
概要
マウ・リサ(マフとも)は、グベ諸族の神話と西アフリカのヴォドゥン——とりわけかつてのダホメ王国(現在のベナン)——において、太陽と月に結びつけられた創造の女神である。
マウとリサは神的であり、合わせると性を持たない神をなす。マウとリサはナナ・ブルクの子であり、オバ・コソ(シャンゴ。フォン人のあいだではヘビオソとして知られる)の親である。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱う。
神話・物語
神話によれば、マウは粘土から人間を創った唯一の存在であり、その夫リサはマウの指示によって人間に文明の築き方を教えた。
神話が語るところでは、大地とすべての生命を創ったのち、マウは疲れ果て、大蛇アイド・フエド(ダン)の背に乗って世界を巡ったという。
マウとリサ。 マウは月、涼しさ、夜、東、休息、母性を司る。リサは太陽、熱、昼、西、労働、力を司る。
二柱で一つの神をなすという構造は、対立するものが合わさって全体となるというフォンの世界観を示す。日食は、マウとリサが交わることであると説明された。
ヴォドゥンの体系
マウ・リサはヴォドゥン(フォン語で「神霊」)の頂点に立つが、直接に人に関わることは少ない。
実際の祭祀は、個々のヴォドゥン——レグバ、サクパタ、ヘビオソ、ダン——に向けられる。
抽象的な最高神と、実際に祈られる神が分かれる構造である。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。ヴォドゥンの祭祀において、神像より祭壇と象徴物が中心となる。
関わる神格・伝承
親はナナ・ブルク。夫(あるいは対をなす一方)はリサ。子はヘビオソら。
大西洋奴隷貿易によってハイチ、キューバ、ブラジルへ伝えられ、ハイチのヴォドゥでは「マウ」の名が残る。
文化的足跡
ベナンでは今日もヴォドゥンが国教の一つとして認められ、1月10日は「ヴォドゥンの日」として国民の祝日である。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。