マウ
マウ · マフ · マウ・リサ
西アフリカのヴォドゥンにおける創造の女神で、太陽の神リサと対をなし、合わせて性を持たない一つの神をなす。粘土から人間を創り、大蛇アイド・フエドの背に乗って世界を巡った。日食は二神が交わることとされる。
解説
概要
マウ(Mawu)は、西アフリカのフォン人をはじめとするグベ系諸民族の宗教ヴォドゥン、とりわけかつてのダホメ王国(現在のベナン)で信仰される創造の神である。太陽の神リサと対をなし、二柱をあわせて「マウ・リサ」と呼ぶ。マウは女性、リサは男性とされるが、二柱で一つの神をなすと説かれることもある。
神話・物語
20世紀前半にダホメで調査を行った人類学者メルヴィル・ハースコヴィッツらの記録によれば、マウ・リサは原初の存在ナナ・ブルクから生まれた双子である。マウは月であり、西に住んで夜をつかさどり、涼しさや休息、豊かさ、母としてのいたわりを表す。リサは太陽であり、東に住んで昼をつかさどり、熱や力、労働を表す。日食は、マウとリサが交わるときに起こると説明された。
マウは粘土から人間を造り、大地と生き物を造り終えると、大蛇アイド・フエドの背に乗って世界を巡ったと語られる。リサは、マウの言いつけによって人々に技術や暮らしの営みを教えたという。
マウ・リサはヴォドゥンの神々(ヴォドゥン)の頂点に立つが、日々の祈りは、雷のヘビオソ、大地と病のサクパタ、神々と人のあいだを取り次ぐレグバなど、その子らにあたる個々の神々に向けられることが多い。
図像と象徴
マウその人を表す定まった神像は乏しく、本サイトも主画像を掲げない。ヴォドゥンの祭祀では、神像よりも祭壇や聖なる品々が祈りの中心となる。
系譜と関係
親はナナ・ブルク。対をなすのはリサ。子には雷神ヘビオソ(ヨルバのシャンゴにあたる)らが数えられる。恵み深い小人の霊アズィーザは、マウを頂点とする神々の下に位置づけられる。
文化的足跡
ベナンでは1996年にヴォドゥンが宗教として公に認められ、1月10日は「ヴォドゥンの日」として国の祝日になっている。大西洋奴隷貿易によってダホメの信仰はハイチやブラジルへも渡り、それぞれの地で独自の宗教の一部となった。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。