ダンバラ
ダンバラ · ダンバラー · ダン
ヴォドゥンとハイチのヴードゥーで最も重要な神霊の一柱。大きな白蛇あるいは虹として描かれ、その七千の巻きが丘と谷をなした。人語を話さず、憑依された者は蛇のように地を這う。配偶者は虹の女神アイダ・ウェド。
解説
概要
ダンバラ(ダンバラー、ダンバラ、ダンバラーなど。ハイチ・クレオール語ダンバラ)は、西アフリカのヴォドゥン、ハイチのヴードゥー、およびオベアのような他のアフリカ系ディアスポラの宗教の伝統において、最も重要なロア(神霊)の一柱である。
伝統的に大きな白い、あるいは黒い蛇として描かれるが、虹として描かれることもある。ダンバラは現在のベナンのウィダ(ウィダー、ウイダ)の町に起源を持つ。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱う。
神話
ダンバラは、天の父であり、すべての命を最初に生み出した者、あるいは至高の神ボンディエによって最初に造られた者とされる。ヴォドゥの伝承によれば、ダンバラが世界を造った。その体の七千の巻きが丘と谷をなし、星と天体を天に並べ、大地の起伏を形づくった。そして雷を放って鉄を鍛え、山に穴をあけて水を流した。水が谷を満たし、その水から命が生まれたという。ダンバラの妻は虹の女神アイダ・ウェドで、二匹の蛇が絡み合う姿が、この一対の図像となっている。
職能
ダンバラは、白と清らかさに結びついており、白い鶏、白い米、卵、白い花が供えられる。ダンバラは人の言葉を話さない。ダンバラに憑かれた者は、蛇のように地を這い、舌を出し入れし、口笛のような音を立てる。言葉を持たない神が、言葉の神レグバと対をなしているのである。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、《ダンバラ・ラ・フランボー》である。地を這う蛇と、天にかかる虹という二つの姿が、この神霊を形づくっている。ハイチでは、ダンバラは蛇を踏みつける聖パトリックや、モーセと重ね合わされた。奴隷制のもとで、アフリカの神々をカトリックの聖人の姿で祀ることが行われたのである。
関わる神格・伝承
配偶者はアイダ・ウェド。フォンのダン(アイド・フエド)と同源。
文化的足跡
ベナンのウィダは、ヴォドゥンの中心地であり、同時に大西洋奴隷貿易の主要な積出港であった。ダンバラの信仰がアメリカ大陸へ渡った経路が、この町に集約されている。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。