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マルシュアース
PLATE — ΜΑΡΣΎΑΣ
HELLAS · ギリシア神話
ΜΑΡΣΎΑΣ

マルシュアース

マルシュアス · マルシアス · マルスュアース

Commonists CC BY-SA 4.0

アポローンに音楽を挑んで敗れ、生きたまま皮を剝がれたサテュロス。アウロスの名手で、もとはプリュギアの河神であったとされる。

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解説

概要

マルシュアース(Μαρσύας / Marsyas)は、アポローンに音楽を挑んで敗れ、生きたまま皮を剝がれたサテュロスである。サテュロスあるいはシーレーノスとされ、母神キュベレーディオニューソスの随神に数えられる。本来はプリュギアを流れるマルシュアース河の河神であったと考えられている。

彼の物語は一貫してアウロスと結びつく。二本の管を吹くこの楽器は、アポローンの竪琴と対をなす。神への挑戦と過酷な罰という筋は、そのまま二つの楽器が担った価値の対立として読まれてきた。

登場する物語

はじまりは楽器の拾得である。メラニッピデース(前5世紀)の語るところでは、アウロスを発明したのはアテーナーであった。しかし水鏡に映る自分の膨れた頬を見て興を削がれ、これを拾った者に災いあれと呪って捨てる。マルシュアースがそれを拾った。前5世紀の詩人テレステースは、処女神がそのような虚栄に動かされるはずがないと疑いを呈している。

熟達したマルシュアースは、腕前はアポローンにも勝ると言い、神に競技を挑んだ。審判はムーサたち、あるいはニューサのニンフたち。勝者は敗者を好きにしてよいという条件であった。

決着の付け方は資料ごとに違う。ヒュギーヌスによれば、一度は優勢だったマルシュアースに対し、アポローンは竪琴を逆さに持って同じ曲を弾いた。アウロスでは真似のできない芸である。ディオドロスは、アポローンが竪琴に自らの歌声を重ねたとする。マルシュアースは楽器の技を競うはずだと抗議したが、おまえも管を吹くとき同じことをしているではないかと返され、ニンフたちは神の言い分を支持した。管を吹き誤って自ら敗北を認めたという説もある。

敗者はケライナイ近くの洞窟で生きたまま皮を剝がれた。アポローンはその皮を松の木に釘で打ちつける。ディオドロスは、神は行き過ぎを悔いてしばらく竪琴を措いたと書き添えている。流れた血、あるいはサテュロスやニンフたちの涙が河となり、それがマルシュアース河だという。

図像と象徴

古代美術の主題は大きく二つである。一つはアテーナーがアウロスを捨てる場面で、彫刻家ミュローンが前440年頃に作った青銅群像がその代表となった。パウサニアスはこれを、笛を拾おうとするシーレーノスのマルシュアースを女神が打つ像と記している。原作は失われ、ローマ期の模刻から構成が知られる。

もう一つが「吊るされたマルシュアース」で、両腕を頭上で縛られ木に吊られた姿を等身大で彫る。ヘレニズム期に成立したこの型はローマ期に多数模刻され、ルーヴル美術館やイスタンブール考古学博物館などに伝わる。白い大理石のものと、赤い斑岩を用いて剝がれた肉を思わせるものとがある。素材そのものが主題を語る、古代彫刻としては例の少ない工夫である。

処刑の瞬間そのものを描くのは、むしろ近世以降である。ティツィアーノの晩年作《マルシュアスの皮剝ぎ》(1570年代、クロムニェジーシュ)は、逆さ吊りにされた身体と、それを淡々と処理する神々を描き、20世紀に再評価された。ラファエロもヴァチカン宮の天井にこの主題を選んでいる。

関わる伝承

父はヒュアグニス、あるいはオイアグロスとされる。オリュンポスは彼の父とも、逆に弟子であり愛人であったとも伝えられる。系譜が定まらないのは、彼がもともと個人ではなく、プリュギアの河と楽器にまつわる伝承の集合体だったためと見られている。

賢者としてのマルシュアースという系統も細く残る。ディオドロスは彼の思慮(スュネシス)と自制(ソープロシュネー)を讃え、これは通常のサテュロスに認められる性質ではない。プラトン『饗宴』でアルキビアデースがソクラテスをマルシュアースになぞらえるとき、念頭にあるのはこの賢いマルシュアースである。醜い外見の内に美しいものを蔵する、という比喩であった。

ヘロドトスは、剝がれた皮がケライナイで今も見られると記す。近代の研究は、この処刑譚をプリュギアの農耕儀礼に伴う人身供犠の記憶と結びつける説を提出してきた。

文化的足跡

ローマのフォルムには、賢い老シーレーノスの姿のマルシュアース像が立っていた。これは市民の自由の象徴とされ、植民市にも同じ像が置かれたと伝えられる。神に逆らって罰された者が、自由の徴になるという転倒がここにある。

近代では、この主題は芸術家と権威の関係を語る比喩として繰り返し用いられてきた。ニューヨーク大学の美術史研究誌が『マルシュアース』を誌名としているのも、神に挑んだ者の名を掲げる意図による。天文学では小惑星 (343158) がこの名を負い、2021年に命名された。

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領分・別名

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Hyagnis
ΜΑΡΣΎΑΣ
マルシュアース
ギリシア神話
Hyagnis
ΜΑΡΣΎΑΣ
マルシュアース
ギリシア神話
収載データなし
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資料

Wikidata
Q599737 — 骨格データの出典
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