サテュロス
サチュロス · サティロス
ギリシア神話の野山の精で、酒神ディオニューソスに従う半人半獣の男たち。古くは馬の耳と尾をもち、ヘレニズム期からパーンと混じって山羊の脚と角をもつようになった。年老いた者はシーレーノスと呼ばれ、サテュロス劇の合唱隊となった。
解説
概要
サテュロス(Σάτυρος)は、ギリシア神話に登場する野山の精であり、酒神ディオニューソスにつき従う半人半獣の男たちである。古くは馬の耳と尾をもつ姿で表され、酒と音楽、舞踏と情欲を好む。
神話・物語
サテュロスは、ディオニューソスの一行に加わって、笛を吹き、踊り、酒に酔い、ニンフや女信徒マイナスたちを追いかける者として語られる。ヘーシオドスの名で伝わる『名婦列伝』の断片は、サテュロスをポローネウスの五人の孫娘の子とし、山のニンフ(オレイアス)やクーレーテスと兄弟にする。
年老いたサテュロスはシーレーノスと呼ばれる。なかでもニューサ山で幼いディオニューソスを育てた養い親シーレーノスが名高い。ヘロドトスは、ミダース王に捕らえられたシーレーノスが王に知恵を授けた話を伝える。笛の名手マルシュアースはアポローンに音楽の腕比べを挑み、敗れて生きながら皮を剥がれた。
アテナイのディオニューシア祭では、サテュロスに扮した合唱隊が登場するサテュロス劇が、三つの悲劇のあとに上演された。完全な形で残るのはエウリーピデースの『キュクロープス』だけで、ソポクレースの『追跡者たち』は約450行が、多くは断片として残る。

図像と象徴
アルカイック期と古典期の美術では、サテュロスは馬の耳と尾をもち、なかには馬の脚をもつ者もいる。前6世紀には、人の脚で表されることが多くなった。山羊の特徴が現れるのはヘレニズム期からで、山羊の脚と角をもつ牧神パーンと混じり合ったためである。ローマ人はサテュロスを、はっきり山羊の姿をしたファウヌスたちと同一視した。

本サイトが掲げるのは、幼いディオニューソスを抱くシーレーノスを表した、ローマ時代(1〜3世紀)の大理石像である。
系譜と関係
ディオニューソスの従者としてその一行をなし、牧神パーンとも近い。年老いた者はシーレーノスと呼ばれる。ローマでは、牧神ファウヌスに従う森の精ファウヌスたちと重ね合わされた。
文化的足跡
サテュロスはルネサンスのヨーロッパ美術に再び現れ、ファウヌスと区別されずに、人と山羊の特徴をさまざまな割合で備えた姿で描かれた。ミケランジェロの《バッコス》(1497年)の足もとには山羊の脚のサテュロスがおり、デューラーの銅版画《サテュロスの家族》(1505年)は、家族と暮らすサテュロスの像として最もよく知られる。
