龍馬
龍馬 · ロンマー · Longma
龍の鱗を持つ翼ある馬で、聖王の出現の徴とされる瑞獣。伏羲の時代に黄河から現れ、その背の文様「河図」から八卦が作られたと伝えられる。洛水の神亀がもたらした「洛書」と対をなし、記号の体系が神獣によってもたらされる構図をなす。
解説
概要
龍馬(ロンマー)は、中国の伝説に現れる、龍の鱗と翼を持つ馬の姿をした瑞獣である。伝説の帝王伏羲の時代に黄河から現れ、その背に記された図「河図」から八卦が生まれたとされる。龍馬の出現は、聖なる王が世を治めていることのしるしであった。「龍馬」の語は、すぐれた馬を指す言葉としても用いられ、日本にも伝わった。
なお本サイトの分類では、中国神話・道教の体系に含めて扱う。
河図と八卦
伝説によれば、伏羲の時代、黄河から一頭の龍馬が現れた。その背には点を組み合わせた図が描かれており、これを「河図」という。伏羲はこの図を見て八卦を作った。これと対をなすのが、夏の禹の時代に洛水から現れた神亀の背に記されていたという「洛書」である。『易経』繋辞伝の「河は図を出だし、洛は書を出だす」という句は、この二つを指す。中国では、世界を読み解くための記号の体系が、聖なる獣によってもたらされたと考えられていたのである。
聖王のしるし
龍馬は、聖なる王が世を治めるときにだけ現れる瑞獣とされた。麒麟、鳳凰、霊亀、龍の「四霊」とも同じ系列に属する。『論語』のなかで孔子は、「鳳鳥至らず、河は図を出ださず。吾已んぬるかな」と嘆いている。聖王のしるしが現れないことが、そのまま時代の乱れを示していたのである。
龍と馬を合わせた名
「龍馬」は、龍と馬という二つの獣の名を重ねた語である。河馬(かば)や海馬(かいば)のように、ある動物の名に別の動物の名を冠する形の言葉と比べられる。伝説の獣を指すだけでなく、すぐれた馬を指す言葉としても使われた。今日の中国語の「龍馬精神」は、老いてなお意気盛んなことを表し、年賀のあいさつにも用いられる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、『古今図書集成』に収められた龍馬の図である。馬の身体に龍の鱗と角を持ち、翼を伴う姿で描かれる。麒麟としばしば混同される。
関わる伝承
伏羲に河図をもたらし、四霊の系列に属する。龍王、応竜、四龍とともに龍の系列をなす。
文化的足跡
「龍馬」の語は日本にも伝わり、人の名にも用いられてきた。
なお道教と中国の民間信仰は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。