応竜
おうりゅう · 應龍 · 黄竜
翼をもつ中国の竜で、雨と水をつかさどる。『山海経』では黄帝に仕えて蚩尤を討ったが天に帰れなくなり、日照りのときにその姿をかたどると雨が降るとされた。土で作る雨乞いの竜の起こりとされる。
解説
概要
応竜(おうりゅう、Yìnglóng)は、中国神話の竜で、雨と水をつかさどる。中国の竜のなかでは珍しく翼をもつ姿で表され、竜が長い年月を経てたどり着く最上の姿とも説かれた。神話では黄帝に仕え、蚩尤との戦いで活躍する。
神話・物語
『山海経』大荒北経によれば、蚩尤が兵を起こして黄帝を攻めたとき、黄帝は応竜に命じて冀州の野で迎え撃たせた。応竜は水を蓄えて攻めたが、蚩尤は風伯と雨師に頼んで大風雨を起こした。黄帝は天女の魃を降して雨を止めさせ、ついに蚩尤を討ったという。
大荒東経はその後日談を語る。応竜は南の果てに住み、蚩尤と夸父を殺したが、再び天に上ることができなくなった。そのため下界はしばしば日照りに見舞われるようになり、日照りのときに応竜の姿をかたどると大雨が降るようになったという。晋の郭璞は、雨乞いに用いる土で作った竜(土竜)の起こりをこの話に求めている。
洪水を治めた禹を助けたとする伝えもある。『楚辞』天問の「応竜何ぞ画せる」という問いについて、後漢の王逸は、応竜が尾で地に線を引き、禹がそれに沿って水路を開いたと注している。
図像と象徴
四本の足と、蝙蝠や鳥に似た翼をもつ竜として描かれる。中国の竜の多くは翼をもたず雲に乗って飛ぶため、翼は応竜を見分ける目印となる。南朝梁の任昉に帰される『述異記』は、蛇の一種の虺が五百年で蛟に、蛟が千年で竜に、竜が五百年で角のある角竜に、角竜が千年で応竜になると説き、応竜を竜の変化の行き着く先に置いている。
漢代の画像石や墓室の壁画には、翼をもつ竜がしばしば表されており、西方の有翼獣の図像の影響を指摘する見方もある。本サイトの主画像は、『山海経』の挿絵に描かれた応竜である。
系譜と関係
黄帝に仕え、蚩尤と夸父を殺した。禹の治水を助けたとされる。
なお中国の民間信仰と道教は今日も継承されている生きた信仰であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。