応竜
おうりゅう · 應龍 · 黄竜
翼を持つ唯一の中華竜で、水を蓄えて雨を降らせる。虺から二千五百年を経て応竜になるとされ竜の究極とみなされる。黄帝に仕えて蚩尤と戦い、のち南方に留まって天に帰れなくなったため南方は雨が多いという。
解説
概要
応竜(おうりゅう)は、中国神話に現れる水神・神獣である。竜の一種とされ、四霊の一種とされる。唯一の有翼の中華竜である。
四本足で蝙蝠ないし鷹のような翼があり、足には三本の指がある。
竜の進化
『述異記』には、「泥水で育った虺は五百年にして蛟(雨竜)となり、蛟は千年にして竜(成竜)となり、竜は五百年にして角竜となり、角竜は千年にして応竜になる」とある。
応竜は竜種の進化の究極と見做され、黄竜と同一視される。『瑞応記』では、「黄竜は神霊の精・四竜の長」と記されている。四竜とは蒼竜(青竜)、赤竜、白竜、黒竜のことである。
二千五百年を経てはじめて翼が生えるという設定である。
伝承
『山海経』では、伝説の王である黄帝に直属していた竜として現れる。天地を行き来することができ、水を蓄えて雨を降らせる能力があった。
黄帝と蚩尤の軍団が争ったとき、応竜は水を蓄えて敵を攻めた。蚩尤が風伯・雨師を呼んで暴風雨を起こしたため、黄帝は旱の神である娘の魃を呼んでこれを止めさせた。
戦いののち、応竜は南方に留まり、天に帰れなくなった。それゆえ南方には雨が多いという。
禹の治水を助けたともされる。尾で地を引いて水路を定めたという。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、『山海経』の応竜の図である。
翼を持つという点が、この竜を規定する。中国の竜は通常翼を持たず、雲に乗って飛ぶ。応竜のみが翼を持ち、それは長い年月を経た証とされる。
漢代の画像石には、翼のある竜が繰り返し刻まれる。西方の有翼獣の図像の影響を指摘する説がある。
関わる神格・伝承
黄帝に仕えた。蚩尤と戦った。禹の治水を助けた。四霊の一。
文化的足跡
日本の創作作品において、応竜は有翼の竜として繰り返し登場する。
なお中国の民間信仰と道教は今日も継承されている生きた信仰であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。