ハカウィツ
ハカウィツ · ハカウィッツ · カカウィツ
キチェ・マヤの山の神で、創始の家系アハウ・キチェの守護神。名は「山」「火の山」「最初の山」などと解され、スズメバチを象徴とする。トヒル、アウィリシュとともに三神をなし、クマルカフの神殿は都で最も高い建物の一つであった。
解説
概要
ハカウィツ(ハカウィツ、カカウィツとも)は、グアテマラ高地の後古典期キチェ・マヤの山の神である。キチェの創始の家系アハウ・キチェの守護神で、太陽神トヒルに付き従う神であった。人身供犠を受けたとみられる。
名
ハカウィツは低地マヤ語で「山」を意味し、高地マヤ語のカカウィツは「火の山」を意味する。このことから、ハカウィツはトヒルと同じく主に火の神格であったと考えられる。マム語の似た語シュカクウィツは「黄色いスズメバチ」を意味し、スズメバチはこの神とその家系の重要な象徴であった。チョル系の言語では「最初の山」を意味し、創造の最初の山と結びつけられる。
神話・物語
キチェの叙事詩『ポポル・ヴフ』では、最初の人々が神話の地トゥランに集まって神々を受け取ったとき、キチェの首長の一人マフクタフがハカウィツを受け取った。ハカウィツは『ポポル・ヴフ』に繰り返し現れ、『トトニカパンの首長たちの文書』にも名が見える。
9世紀半ばの終末古典期の低地マヤの遺跡セイバルの石碑8には、ハカウィツィルという名の訪問者が記されている。これはハカウィツの古い綴りで、リンダ・シーリーとピーター・マシューズは、この石碑に描かれた出来事がキチェの建国伝説の起源になったと提唱した。
信仰
ハカウィツは、トヒル、女神アウィリシュとともにキチェの三神をなし、三神はまとめて最も重要なトヒルの名で呼ばれることもあった。三神一組の観念は、マヤ文化では先古典期にさかのぼる古いものである。
アハウ・キチェはキチェの創始の家系であったが、のちにカウェク家系に権力を奪われ、それとともに守護神の地位も下がった。キチェの都クマルカフのハカウィツ神殿は、都で最も高い三つの建物の一つであったが、中央の広場には背を向けていた。神殿は広場の南にある大きな塚で、石組みは剝ぎ取られて元の形は定かでないが、19世紀の都市図にはピラミッドとして記されている。神殿は、北側の神殿、南側の宮殿、東側の長い建物が中庭を囲む複合体の一部で、19世紀のミゲル・リベラ・イ・マエストレの素描からは、四段か五段の基壇を持つ細い建物であったとみられる。この複合体はまだ考古学的に調査されていない。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
アハウ・キチェ家系の守護神で、トヒル、アウィリシュとともに三神をなす。
なおメソアメリカの先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。