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イツパパロトル
PLATE — ĪTZPĀPĀLŌTL
AZTECA · アステカ神話
ĪTZPĀPĀLŌTL

イツパパロトル

イツパパロートル · 黒曜石の蝶 · 鉤爪の蝶

Codex Borgia PUBLIC DOMAIN

アステカ神話の死と戦いの女神。「黒曜石の蝶」を意味し、石刃の生えた翅と骸骨の顔をもつ。楽園タモアンチャンを司る。

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解説

概要

イツパパロトル(Ītzpāpālōtl)は、アステカ神話と戦いの女神である。名はナワトル語で「黒曜石(ītztli)の蝶(pāpālotl)」を意味するが、「鉤爪の蝶」と解する読みもあり、近年は後者を採る研究者が多い。骸骨の頭と、石刃を並べた翅をもつ姿で表される。楽園タモアンチャンを司り、星の魔物ツィツィミメの女王とされる。

神話・物語

『1558年の写本』は、この女神が牝鹿の姿をとって現れる説話を伝える。センツォン・ミミシュコア(四百の星神)が待ち伏せに討たれたのち、生き残った二柱の雲の蛇シウネルとミミチの前に、イツパパロトルともう一柱の女神——チマルマン——が女に変じて立った。血を勧められて飲んだシウネルは女と交わり、そのまま胸を裂かれて食われた。逃げたミミチは棘のあるサボテンに飛び込み、女もそのあとを追って落ちたという。『クアウティトラン年代記』では、犠牲となる者は鹿の姿をとり、その心臓が食われる。

チチメカの起源譚にもこの女神が現れる。16世紀の『クアウティンチャン地図第2号』は、七つの洞窟チコモストクからチチメカの戦士たちが現れ出る場面を描き、その先頭に、切り取った人の腿を掲げるイツパパロトルを置く。腿の骨は戦の徴と解されている。

図像と象徴

骸骨の頭、ジャガーの鉤爪、そして刃を並べた翅。翅の先端に付くのは、名が示す黒曜石ではなくテクパトル(燧石)の刃である。蝶ではなくコウモリの翼で描かれることもあり、鷲の属性を帯びることもある。美しく人を惑わす女の姿をとることもあれば、恐るべき骸骨として現れることもある。

メソアメリカでは、蝶や蛾が火に飛び込む習性が自己犠牲の勇気に重ねられ、蝶そのものが炎の象徴とされた。戦士は蝶の意匠を身につけて戦い、死んだ戦士の魂は蝶となって太陽の楽園に住むと考えられていた。この女神の翅は、その観念の極点にある。

骸骨の頭に石刃の翅という図像は、後古典期前期のトゥーラに初めて現れる。古典期サポテカの骨壺に描かれた「女神2J」をその祖型とみる説があるが(アルフォンソ・カソ、イグナシオ・ベルナル)、同定は確定していない。

系譜と関係

配偶を石と冷気の神イツトラコリウキとする伝がある。子は狩猟と戦の神ミシュコアトルであるとされ、その系譜をたどればケツァルコアトルの祖母にあたる。ただし系譜の記述は資料ごとに異なる。

暦の上ではコンドル(コスクアウトリ)の日を司り、「1の家」のトレセーナの守護神である。「1の家」は西に配当され、産褥で死んだ女性が神格化したシワテテオに捧げられた日でもあった。この女神自身もシワテテオの一柱に数えられ、また日食のときに人を喰らうツィツィミメと同一視される。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q2619569 — 骨格データの出典