インティ
アプ・プンチャウ · プンチャオ · Apu Punchau
インカ帝国の太陽神で守護神。創造神ビラコチャの子、月の女神ママ・キリャの夫とされ、皇帝サパ・インカはその末裔を称した。クスコの太陽神殿コリカンチャに黄金の像プンチャオが祀られた。冬至の祭インティ・ライミは1944年に再興された。
解説
概要
インティ(Inti)は、インカ神話の太陽神であり、インカ帝国の守護神である。太陽の光と熱をもたらして作物を実らせる恵みの神であり、農民から皇帝まで広く崇められた。皇帝サパ・インカはインティの末裔を称し、この神聖な血統が帝国の統治を正当化した。クスコの太陽神殿コリカンチャ(「黄金の囲い」)は彼に捧げられ、壁は太陽を映す金板で覆われていたと伝わる。

神話・物語
体系のなかでインティは、至高の創造神ビラコチャの子とされることが多い。姉妹にして妻の月の女神ママ・キリャとのあいだに、インカ王朝の始祖マンコ・カパックと、その姉妹妻ママ・オクリョを儲けたと伝わる。ただし系譜には異伝が多く、マンコ・カパックをインティの子とする伝えと、ビラコチャの子とする伝えが併存する。始祖伝説では、インティは黄金の杖を授け、それが一撃で沈むほど肥沃な地にクスコを築くよう命じたという。太陽の祭祀の確立と拡大は、しばしば皇帝パチャクティに結びつけられる。
図像と象徴
インティを表す造形は、そのほとんどが黄金で作られた。金は「太陽の汗」とされ、月を象る銀と対をなした。最も一般的な表現は、中心から光線が放射する黄金の円盤で、円盤に人面をあしらう作例もある。コリカンチャの壁龕には、歴代の皇帝の遺体とともにインティの像が置かれた。最も重要な像はプンチャオ(ケチュア語で「昼」)と呼ばれ、耳飾りと胸飾り、王の鉢巻をつけた姿であった。人の形の像のなかには、胴の空洞に金の粉とインカの王たちの心臓の灰を収めたものもあったという。征服後、金の像の多くは熔かされて失われた。

本サイトが掲げるのは、「エチェニケの太陽」と呼ばれる金の円盤で、クスコ市の紋章の図柄にも用いられている。
系譜と関係
父を創造神ビラコチャ、妻を月の女神ママ・キリャとするのが一般的である。母なる大地パチャママとは、天の光と地の実りとして農耕を支え合う関係に置かれる。別の伝えでは、インティはパチャママと天空神の子で、のちにパチャママの二番目の夫となる。
太陽の神インティに仕える者として、金星の女神チャスカ・コイリュルが挙げられる。
文化的足跡
南半球の冬至(6月24日ごろ)に行われた九日間の祭インティ・ライミは、征服後に禁じられたが、1944年に再興され、今日クスコで大規模に演じられている。太陽の図柄は、ペルーの歴史上の国旗やボリビア・エクアドルの国章に現れ、ペルー国家の最高の勲章は太陽勲章である。
なおアンデスの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。