インティ
アプ・プンチャウ · プンチャオ · Apu Punchau
インカ帝国の太陽神にして守護神。光と熱で作物を実らせ、皇帝サパ・インカは自らをその末裔と称した。太陽神殿コリカンチャに祀られた。
解説
概要
インティ(Inti)は、インカ神話の太陽神であり、帝国の守護神である。太陽の光と熱をもたらして作物を実らせる恵みの神であり、農民から皇帝まで広く崇められた。皇帝サパ・インカはインティの末裔を称し、この神聖な血統が帝国の統治を正当化した。クスコの太陽神殿コリカンチャ(「黄金の囲い」)は彼に捧げられ、壁は太陽を映す金板で覆われていたと伝わる。
神話・物語
体系のなかでインティは、至高の創造神ビラコチャの子とされることが多い。姉妹にして妻の月の女神ママ・キリャとのあいだに、インカ王朝の始祖マンコ・カパックと、その姉妹妻ママ・オクリョを儲けたと伝わる。ただし系譜には異伝が多く、マンコ・カパックをインティの子とする伝えと、ビラコチャの子とする伝えが併存する。始祖伝説では、インティは黄金の杖を授け、それが一撃で沈むほど肥沃な地にクスコを築くよう命じたという。インティ信仰は、皇帝パチャクティがチャンカ族に勝利して以降、帝国の中核として大きく高められた。
図像と象徴
インティを表す造形は、そのほとんどが黄金で作られた。金は「太陽の汗」とされ、月を象る銀と対をなした。最も一般的な表現は、中心から光線が放射する黄金の円盤で、円盤に人面をあしらう作例もある。クスコの神殿に安置された最も重要な像は、真昼の太陽の化身プンチャオを少年の姿で表したものであったと伝わる。ペルー国立博物館の「エチェニケの太陽」と呼ばれる金板は、こうした太陽の象徴を今に伝える作例として知られ、現在はクスコ市の紋章にも用いられている。ただしその原義には諸説がある。征服後、金の像の多くは熔かされて失われた。
系譜と関係
父を創造神ビラコチャ、妻を月の女神ママ・キリャとするのが一般的である。母なる大地パチャママとは、天の光と地の実りとして農耕を支え合う関係に置かれる。海岸部の創造神パチャカマックを、その子とみなす沿岸の伝えもある。
文化的足跡
冬至に太陽の復活を祝う祭インティ・ライミは、征服後に禁じられたが、20世紀に再興され、今日クスコで大規模に演じられている。太陽を戴く神という像は、アンデスの国々の紋章や祭礼に受け継がれてきた。現代の創作作品にも太陽神として登場する。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。