ヒクレオ
ヒクレオ · ハヴェア・ヒクレオ · Hikuleʻo
トンガの冥界プロトゥの神。天から投げた石が火山島になり、珊瑚島は兄弟マウイが釣り上げたとされ、島の成り立ちの違いが起源譚の違いになっている。力が強すぎるため、天のタンガロアと地下のマウイが両側から綱で引いて縛っている。
解説
概要
トンガ神話において、ハヴェア・ヒクレオは冥界プロトゥの神である。
カオ、トフア、フンガ・ハアパイ、フンガ・トンガ、ラテ、フォヌアレイの島々は、ヒクレオが天から投げ落とした石から生じた。これらはすべて火山島である。他の(珊瑚の)島々は、その兄弟あるいは従兄弟であるマウイが釣り上げた。
二種類の島
トンガの島々は、成り立ちの違う二種類に分かれる。西の列は火山の島で、新しい。これは、ヒクレオが石を投げて造ったとされる。東の列は、隆起した珊瑚礁からなる平らな島で、マウイが海から釣り上げたとされる。成り立ちの異なる島々に、異なる起源の物語が割り当てられているのである。人々が見分けていた島の違いが、そのまま神話の違いになっている。
プロトゥ
プロトゥは、トンガやサモアの伝承に現れる冥界であり、同時に神々の住む場所でもある。ヒクレオはここを治めている。首長の霊はプロトゥへ行き、平民の霊は消えてしまうとされた。死後の行く末が身分によって異なるという考えは、ポリネシアの身分の分かれた社会を映している。
縛られた神
伝承によれば、ヒクレオはあまりに強く、その力が世界を損なうため、タンガロアとマウイによって縛られたという。腰に綱をかけられ、その一方を天のタンガロアが、もう一方を地下のマウイが引いており、両側から引かれているために動けずにいるのである。力の強い神が縛られるという主題は、北欧のロキや、ギリシアのプロメーテウスにも見られる。ただしヒクレオの場合、それは罰ではなく、世界の釣り合いを保つためなのである。
尾
「ヒクレオ」は「尾の声」あるいは「長い尾」を意味するとされる。
蛇のように長い尾を持つ姿で表されるという伝えがある。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる神格・伝承
マウイの兄弟あるいは従兄弟。タンガロアと綱を引く。プロトゥを統べる。
トンガの神聖王トゥイ・トンガの初代の王は、天の神と人の女性の子アホエイトゥとされる。
文化的足跡
トンガは19世紀にキリスト教化し、今日その人口のほぼ全てがキリスト教徒である。伝統的な神々は口承のなかに残る。
なおハワイ・サモア・トンガ・タヒチの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承に関する学術的な整理である。