ガネーシャの妃
ガネーシャの妃 · リッディ · シッディ
ガネーシャの婚姻は神話によって異なり、南インドでは母パールヴァティーほど美しい女がいないため独身とされ、水辺で待ち続けている。北インドでは繁栄のリッディと成就のシッディという観念が妃として人格化される。兄弟スカンダとの競争で両親の周りを回って勝った物語がある。
解説
概要
ガネーシャに妻がいるかどうかは、地域と伝承によって答えが異なり、研究者のあいだでも論じられてきた。南インドでは、ガネーシャは妻を持たない独身の修行者とされることが多い。一方、北インドでは、リッディ(繁栄)とシッディ(成就)、あるいはブッディ(知性)とシッディの二人の妻を持つとされる。いずれも抽象的な観念が女性の姿をとったものである。
なお本サイトの分類では、ヒンドゥーの体系に含めて扱う。群記事とする。
母を探す独身の神
南インドの伝承によれば、ガネーシャが妻を持たないのは、母パールヴァティーほど美しい女性がいないからである。ガネーシャは母に似た女性を探して、今も川のほとりや池の岸で待ち続けているという。そのため南インドでは、ガネーシャの像がしばしば水辺の木の下に置かれている。独り身でいる理由が、母への思慕として語られているのである。
観念が妻になる
北インドでは、ガネーシャはリッディとシッディの二人の妻を持つとされる。障害を取り除く神のはたらきがもたらす結果、すなわち繁栄と成就が、そのまま妻として人の姿をとったものと考えられる。ブッディ(知性)を妻の一人とする伝承もある。
世界を一周する競争
ガネーシャの結婚には、兄弟のスカンダとの競争の物語が伝わる。二人は、どちらが先に結婚するかをめぐって、先に世界を一周してきたほうが勝つという約束をした。スカンダはすぐさま孔雀に乗って飛び立った。ところがガネーシャは、両親の周りを三度めぐり、「父と母こそが全世界である」と言った。この知恵によってガネーシャが勝ち、先に結婚したという。速さではなく、機転が勝ったのである。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ガナパティ(ガネーシャ)を描いた図である。
関わる神格・伝承
ガネーシャの配偶者である。象の頭を持つ女神ヴィナーヤキーとは別の存在である。
文化的足跡
商家には、リッディとシッディを伴うガネーシャの図が掲げられる。帳簿には「シュブ」(吉)と「ラーブ」(利)と書かれ、これは二人の妻から生まれた子の名とされる。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。