ブラフマチャーリニー
ブラフマチャーリニー · タポーチャーリニー · Brahmacharini
ナヴァドゥルガーの第二。女性の苦行者としてのパールヴァティーで、白衣に数珠と水瓶を持つ。九柱のうち乗物を伴わない唯一の形態である。
解説
概要
ブラフマチャーリニー(サンスクリット ब्रह्मचारिणी)は、ヒンドゥー教の大女神マハーデーヴィーの一形態で、女性の苦行者としてのパールヴァティーである。ナヴァドゥルガーの第二であり、ナヴァラートリの二日目に祀られる。
名は二つのサンスクリットの語根からなる。ブラフマは「自存する霊、絶対的実在、普遍我、人格神、聖なる知識」を、チャーリニーは「従事する、行う、振る舞う、進む」を意味するチャーリヤの女性形である。ヴェーダ文献においてブラフマチャーリニーは、聖なる宗教的知識を追求する女性を指す。
神話・物語
伝えによれば、乙女パールヴァティーはシヴァと結ばれることを決意した。両親は思いとどまらせようとしたが、彼女は決意を変えず、五千年に及ぶとされる苦行に入る。
この時期、神々は魔族ターラカースラに悩まされていた。ブラフマーから、シヴァの子の手にかかる以外は不死であるという恩寵を得ていたためである。シヴァを結婚させて子をもうけさせるため、神々は愛欲の神カーマデーヴァを差し向けた。カーマデーヴァは瞑想するシヴァに欲望の矢を放つ。激怒したシヴァは第三の眼を開き、カーマデーヴァを灰にした。
それでもパールヴァティーの決意は揺るがなかった。彼女はシヴァに固有の苦行の生活を採り、山に住み、苦行とヨーガと禁欲を行い、ベールの葉と川の水だけで生きた。この姿において、彼女はブラフマチャーリニーとして崇められるようになった。
その厳しさはついにシヴァの注意を引く。シヴァは姿を変えて近づき、自らの欠点と奇癖を列挙して思いとどまらせようとしたが、彼女は動じなかった。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ラージャスターン州ジャイプルに伝わる図像である。
姿は白衣をまとい、右手に数珠(ジャパマーラー)、左手に水瓶(カマンダル)を持つ。武器も乗物も伴わない。ナヴァドゥルガーの九柱のうち、獅子にも牡牛にも乗らないのはこの一柱だけである。
苦行そのものが属性になっている点が、この形態の要である。他の八柱が武器や乗物によって力を示すのに対し、この女神が示すのは持続である。五千年の苦行という数字は、その一点を誇張によって表したものといえる。
関わる神格・伝承
パールヴァティーの一形態。前後にあたるのはシャイラプトリーとチャンドラガンターである。
苦行によって神の配偶者となるという筋は、カーリダーサの叙事詩『クマーラサンバヴァ』が主題とするところでもある。文学作品と祭祀の女神が、同じ物語を共有している。
文化的足跡
ナヴァラートリの二日目は、この女神に捧げられる。修行、忍耐、そして目的の一貫性が主題とされ、学業や修練を志す者がとりわけこの日に祈るという。
ブラフマチャーリヤ(禁欲・学生期)という語は、今日のインドで日常的に用いられる。その女性形が女神の名になっているという事情は、ヒンドゥー教における抽象概念の神格化の一例である。