シャイラプトリー
シャイラプトゥリー · サティー・バヴァーニー · ヒマヴァティー
ナヴァドゥルガーの第一。山の王ヒマヴァットの娘としてのパールヴァティーで、ナヴァラートリ初日に祀られる。牡牛に乗り、三叉戟と蓮を持つ。
解説
概要
シャイラプトリー(サンスクリット शैलपुत्री)は、ヒンドゥー教の大女神マハーデーヴィーの一形態で、山の王ヒマヴァットの娘パールヴァティーとして崇められる。ナヴァドゥルガーの第一であり、ナヴァラートリの初日に祀られる。
名は文字どおり「山(シャイラ)の娘(プトリー)」を意味する。サティー・バヴァーニー、パールヴァティー、ヒマヴァティーとも呼ばれる。
神話・物語
前世においては、ダクシャの娘サティーであった。あるときダクシャは大規模な祭祀(ヤジュニャ)を催したが、サティーの夫シヴァを招かなかった。憤ったサティーはそれでも祭祀に赴く。そこでダクシャはシヴァを侮辱した。この侮辱に耐えられなかったサティーは、祭火に身を投じてダクシャの祭祀を破壊した。
次の生において、彼女はヒマラヤの娘パールヴァティーとして生まれ、再びシヴァと結ばれる。
ヨーガの体系では、根のチャクラであるムーラーダーラの女神とされる。霊的な覚醒に際して、彼女はサハスラーラ(頂のチャクラ)で待つシヴァに向かって上昇の旅を始めるという。シャークタ派において、ナヴァラートリの初日はヨーガの修行を始め、灌頂を受けるのに吉とされる日である。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、2010年のコルカタ・カーリーガート、サンガシュリーのドゥルガー・プージャに祀られた像である。ナヴァドゥルガー九柱を一連の像として制作したもので、今日の祭祀の実際を伝える。
図像は二臂で、額に半月を戴く。右手に三叉戟、左手に蓮の花を持ち、牡牛ナンディンに乗る。ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの力を体現する存在とされる。
儀礼はガタスターパナ——シャクティを象徴する所作——から始まる。浅い素焼きの器を台とし、三層の土と七種または九種の穀物の種を撒いて水を注ぐ。ガンジス川の水を満たしたカラシャ壺に檳榔子、幾枚かの硬貨、ウコンで染めた生米(アクシャト)、ドゥルヴァ草を入れ、口の周りに五枚のマンゴーの葉を置いて椰子の実で覆う。
関わる神格・伝承
パールヴァティーの一形態であり、ドゥルガーの九形態の第一。ナヴァドゥルガーの第二はブラフマチャーリニーである。
マントラは「オーム・デーヴィー・シャイラプトリヤイ・ナマハ」。ヴァルナマーラー(サンスクリット字母の体系)においては、舌の先と唇に対応する音「ラ・マ」が割り当てられる。
文化的足跡
ナヴァラートリの初日は、インド各地でこの女神に捧げられる。ガタスターパナの儀礼は九日間の祭全体の起点であり、家庭でも寺院でも執り行われる。
日本語圏では、ナヴァラートリの名は知られていても、その初日が特定の女神に対応しているという構造まで紹介されることは少ない。祭の日付と神格の対応が、この体系の骨格をなしている。