テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
アンシャル
PLATE — 𒀭𒊹
SVMER · メソポタミア神話
𒀭𒊹

アンシャル

アンシャル · アンシャール · Anshar

Handbuch der altorientalischen Geisteskultur (1913) PUBLIC DOMAIN

「全天」を意味するメソポタミアの原初の神で、キシャルとともに天と地の全体を表すとされる。アヌの父。『エヌマ・エリシュ』でティアマトに対抗する神々の会議を主宰し、マルドゥクを戦いの頭に推した。アッシリアでは表記の一致からアッシュルと重ねられた。

01

解説

概要

アンシャル(Anshar、「全天」)は、メソポタミア神話の原初の神で、神々の古い王とみなされた。天空神アヌの父とされる。祭祀を受けることはほとんどなかったが、前1千年紀のアッシリアでは、国家の主神アッシュルの名を表す表記にその名が用いられた。

神話・物語

名は楔形文字で AN.ŠÁR と書かれ、シュメール語で「全天」と訳しうる。ベンジャミン・R・フォスターは、対をなすキシャルとともに、天と地の全体、あるいは地平の円を人格化したものと理解されていたと考える。

『エヌマ・エリシュ』では、アンシャルとキシャルはラフムとラハムの子で、アヌの親である。アプスーとティアマト、ラフムとラハム、アンシャルとキシャル、アヌ、エア、マルドゥクと続く系譜の第三の世代にあたる。

ティアマトが復讐の軍を起こしたとき、神々の会議を招集したのはアンシャルである。アンシャルはエアを、次いでアヌを遣わしたが、いずれもティアマトの前から引き返した。そこでアンシャルはマルドゥクを推し、マルドゥクは神々の王位を条件に戦いを引き受けた。

信仰

前1千年紀のアッシリアでは、アッシュル神の名が AN.ŠÁR と書かれるようになった。これによってアッシュルは原初の神アンシャルと重ねられ、マルドゥクより古い神とされた。『エヌマ・エリシュ』のアッシリア版では、主人公がマルドゥクからアッシュルに置き換えられている。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、アッシュルの遺跡で見つかった、牡牛の上に立つアッシュル神の図(1913年刊の書物より)である。アッシリアでは、アンシャルは国の主神アッシュルと同じものとされた。

系譜と関係

親はラフムとラハム、配偶者はキシャル、子はアヌ。アッシリアではアッシュルと同一視された。

02

領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
アッシュル メソポタミア神話 同一視
サルゴン2世期に始まりセンナケリブ期に体系化された AN.ŠÁR 表記により、アッシュルは『エヌマ・エリシュ』の原初神アンシャルと同定された。バビロニアのパンテオンの頂点にアッシュルを置くための操作と解される。

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

フル系図ページを開く →
04

資料

Wikidata
Q771497 — 骨格データの出典