アメノタヂカラオ
アメノタヂカラオ · 天手力男神 · 天手力雄神
岩戸隠れで岩戸の脇に隠れ、鏡に身を乗り出したアマテラスの手を取って引き出した力の神。投げ飛ばした岩戸が戸隠山になったという。思金神の子とされ、天孫降臨で神器に副えられて伊勢に鎮座した。
解説
概要
アメノタヂカラオ(天手力男神・天手力雄神)は、日本神話の神で、岩戸隠れの場面で、岩戸から身を乗り出したアマテラスの手を取って引き出した力の神である。『古事記』では天手力男神、『日本書紀』では天手力雄神と表記される。
神話・物語
『古事記』によれば、アマテラスが天の石屋戸にこもると、神々は思金神の計らいで祭りを営んだ。天児屋命が祝詞を奏し、布刀玉命が鏡などを懸けた榊を捧げ、天宇受売命が舞うと、神々はどっと笑った。いぶかしんだアマテラスが戸を少し開けたところへ鏡が差し出され、映る姿をよく見ようと身を乗り出したとき、戸の脇に隠れていた天手力男神がその手を取って引き出した。『日本書紀』の一書や『古語拾遺』では、戸を「引き開けて」とある。
天孫降臨の際、アマテラスは三種の神器に思金神、手力男神、天石門別神を副えた。『古事記』は、手力男神は佐那那県に坐すと記し、三重県多気町の佐那神社がこれにあたるとされる。
『大和志料』に引かれる『斎部氏家牒』は、天八意思兼命(思金神)の子で、阿智祝の遠祖とする。
図像と象徴
岩戸を開け放つ筋骨たくましい男神として描かれる。主画像は、春斎年昌「岩戸神楽ノ起顕」(1882年)で、岩戸から現れるアマテラスを描く。
系譜と関係
思金神の子とする伝えがある。岩戸隠れの場面で、思金神、天児屋命、布刀玉命、天宇受売命とともに働いた。
文化的足跡
投げ飛ばした岩戸が信濃に落ちて戸隠山になったという伝えがあり、長野県の戸隠神社奥社の祭神となっている。各地の手力雄神社でも祀られ、力の神、スポーツの神として信仰される。岩戸神楽では、手力男命が岩戸を開ける場面が最大の見せ場である。
なお神道は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。